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天気悪くないのに屋外スピーカーから防災情報…なぜ?【こちら編集局です】

2021/6/17 21:05
太田川放水路沿いに設置された赤いスピーカー付きの警報装置(広島市西区)

太田川放水路沿いに設置された赤いスピーカー付きの警報装置(広島市西区)

 「天気が悪い訳ではないのに放送とサイレンが鳴った。よく聞こえず、かえって不安になった」。広島市内の20代女性から編集局にそんな声が寄せられた。広島県内は梅雨で、土砂災害や河川の氾濫への備えが必要な時季だ。屋外スピーカーの防災情報の意義や役割について調べた。

 ▽避難・水位上昇への注意促す ネットとは別の周知手段

 平日の昼下がりに自宅で警報音を聞いた女性。「何があったのか」と市のホームページ(HP)などを調べたが、分からずじまいだったという。

 広島市の防災行政無線の場合、「避難指示」や「緊急安全確保」が発表された際に、対象区域の住宅が並ぶ方角にサイレンを鳴らし、スピーカーで避難を呼び掛ける。市内の屋外に157カ所ある。

 しかし市の担当課に聞いたところ「その日は使っていない」との返答だった。

 では何のサイレンだったのか―。国土交通省太田川河川事務所(中区)に連絡すると、その日、太田川放水路沿いのスピーカーから、放送と警報音を流していたことが分かった。

 太田川は、大雨で水位上昇が予測される場合、氾濫を防ぐために祇園水門(西区、安佐南区)を開け、水位を調節する。サイレンは全開の10分前をめどに鳴らし、河川敷から離れるように促す。西区の太田川放水路沿いでは、大芝出張所から旭橋までの7カ所にスピーカーがある。同事務所によると、女性が聞いた音は設備の更新に伴い、試験的にサイレンと放送を鳴らしたものという。

 このサイレンは河川敷にいる人に外へ出るよう促すのが目的だ。しかし河川敷の外にも聞こえるため「うるさい」との苦情が入ることもあるという。

 太田川河川事務所の木村清隆管理課長は「警報音は犠牲者を出さないための欠かせない手順の一つ。役割を正しく知っていただくよう周知に努めるしかない」と理解を求める。

 屋外スピーカーを使った防災情報は確かに聞き取りにくい場合がある。その場合は、スマートフォンやテレビの「dボタン」で最新の気象状況を確認できる。

 また防災行政無線は、スマホなどを随時使えない高齢者たちに、幅広く直接、注意喚起するためにあるという。つまりは、防災の大切なセーフティーネットの一つということだ。

 異常気象が頻発し、災害はいつ起きるか分からない。サイレンや放送がうるさくても、それは警報のためであり当然だろう。警報を受け止め、命を守るために行動へ移す―。その大切さを胸に刻みたい。(浜村満大)

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