コラム・連載・特集

番狂わせ

2021/6/21 6:52

 番狂わせで当選すると「トンデモ発言」を繰り返した。イラン大統領を2005年から8年間務めたアハマディネジャド氏も、その一人だろう。極め付きは、ナチスのユダヤ人大虐殺は欧米がでっち上げた、というものだ。そんな暴言で国際社会をかき乱した▲その二の舞いを踏まないか。同じ反米保守強硬派のライシ師が次の大統領に選ばれた。ただ今回は最高指導者ハメネイ師のお墨付きらしい。自らの後継含みで出来レースをお膳立てしたようだ。圧勝にも意外性はない▲ライバルと目された穏健派や改革派の有力者は事前審査で軒並み失格になった。しらけた若者らがそっぽを向くのも無理はなかろう。投票率は50%を切り、過去最低に▲米国のトランプ前政権がぶち壊した「核合意」に薄日が差してきたのに、再び暗雲に覆われかねない。敵対を続けるイスラエルは即座にイランを非難した。「ハメネイ氏の実質的指示で史上最も過激な大統領を誕生させた」と。もともときな臭い上、新たな火種で中東はどうなる▲ライシ師の就任まで40日余り。穏健派大統領のうちに、米国と核合意を結び直せるだろうか。そんな「番狂わせ」なら、国際社会も歓迎だろうに。

  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

天風録の最新記事
一覧