コラム・連載・特集

一碁一会

2021/6/24 7:01

 米大リーグの大谷翔平選手には及ばぬものの、日本の囲碁界にも「二刀流」がいる。24歳の一力遼(いちりき・りょう)二冠だ。いま最も勢いのある注目の棋士のもう一つの顔は、駆け出しの新聞記者である▲東北の地方紙、河北新報の創業家に生まれた。新聞社に入社した昨年、あと一歩で届かなかった七大タイトルのうち碁聖と天元を手にした。同紙は碁聖戦の主催社の一つ。「碁聖を取って自分で自分に賞状を渡す」が子ども心に抱いた夢だったとか▲同紙と中国新聞セレクトなどに囲碁のコラム「一碁一会(いちごいちえ)」を書くが、いまは囲碁中心だ。「両方やることで自分を高める」と覚悟を決めて、飛躍した。あさって、初防衛戦となる碁聖戦5番勝負の第1局に臨む。舞台は倉敷市真備町である▲町名の由来でもある遣唐使の吉備真備(きびのまきび)は、囲碁を大陸から伝えたとの説もある。その名を冠した大会も開かれている。真備は学者と政治家の「二刀流」で活躍した。不思議な縁を感じる▲3年前の西日本豪雨で真備町は3割が浸水被害を受け、いまも生活再建の途上にある。挑戦者の井山裕太棋聖は史上初の七冠を達成した強敵だ。ワクワクする好勝負で、「囲碁のまち」の復興を後押ししてほしい。

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