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赤木ファイル なぜ再調査を拒むのか

2021/6/25 6:32

 赤木ファイルがようやく開示された。森友学園問題に関する公文書の改ざんを命じられて3年前、自殺に追い込まれた財務省近畿財務局の元職員・赤木俊夫さんが残した文書類である。518ページに上り、経緯を記すほか抗議する文面も。不正に加担させられた無念がにじむ。

 文書について赤木さんは妻に伝えており、元上司もその存在を証言していた。ところが国は「確認されていない」と存在さえも長く明らかにしてこなかった。妻が国側に損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁から任意で提出するよう提案されて今回、初めて開示した。

 だが改ざん指示のメールを送信した職員名など約400カ所が墨塗り。おととい訴訟の口頭弁論で遺族側が原本の開示を求めたものの、国側は拒否した。

 野党は閉会中審査を求めたが自民党は応じなかった。政府は再調査もしないという。真相を解明する気はないのか。うやむやに済ますことは決して許されない。

 財務省から削除・修正を迫るメールのほか、修正部分を明示した文書などが残されていた。ファイルには当時、財務省理財局長だった佐川宣寿氏の名前が挙がる。「佐川局長から国会答弁を踏まえた修正を行うよう指示」という記述もあった。ほかにも圧力を示唆するような内容があり、組織的な改ざんは疑いようがない。

 2018年に公表された財務省の調査報告書は大まかな経過を説明したものにすぎず、不十分であったことが、赤木ファイルによって判明した。

 再調査が必要なのは間違いない。佐川氏が具体的にどういう指示を出したか、財務省理財局と近畿財務局との間でどんなやりとりがあったかを明らかにせねばならない。

 国有地が8億円も値引きして森友学園に売却されたと発覚したのは4年前。開校予定の学校の名誉校長に、当時の安倍晋三首相の妻昭恵氏が一時就任していたため疑念が広がった。安倍氏は国会答弁で「私や妻が関わっていれば、首相も国会議員も辞める」と断言した。

 学園との交渉記録について、理財局長の佐川氏は廃棄したとして説明を拒否し、「政治家の関与はなかった」とも述べた。

 だがその一方で、記録の廃棄のほか、公文書から首相や昭恵氏に関する記述の削除といった改ざんが進められていたことが赤木ファイルから読み取れる。

 公文書の改ざんや廃棄という前代未聞の不祥事は、根の深い問題で依然、全容が解明されていない。

 にもかかわらず菅義偉首相も麻生太郎財務相も、報告書によって既に結論は出ているとして「再調査はしない」と言う。公文書改ざんに抵抗し、告発するファイルを残すなど、公務員としての職務に忠実であろうとした赤木さんに対し、何とも不誠実な対応ではないか。

 野党は当時の官房長官だった菅首相の関与も追及する構え。首相が再調査に後ろ向きなのはまさかそれが理由なのか。

 政府は行政の信頼回復に努めるというが、疑念を晴らさないままで、国民の信頼を取り戻せるわけがない。佐川氏らに説明を求めるなど、第三者による徹底的な再調査をはじめ国会主導での全容解明が求められる。

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