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迷わず「同行避難」を 「ペットがいるから避難所へ行きにくい」【こちら編集局です】

2021/6/25 21:06
ペット専用の避難スペースを備えた熊野東防災交流センター

ペット専用の避難スペースを備えた熊野東防災交流センター

 「災害時にペットと一緒に避難できるのか心配です」。広島市安佐南区の60代女性から編集局に声が寄せられた。日々の暮らしに癒やしを与えてくれるペット。一方、災害リスクが高まっても「ペットがいるから避難所へ行かず、家に残る」という人も一部にいる。ペットのいる世帯の避難について、現状と課題を探った。

 ▽受け入れ・居場所、自治体で差

 災害時の行動として環境省が推奨するのは、飼い主がペットと一緒に逃げる「同行避難」だ。自らの安全を確保した上で、ペットをケージやキャリーバッグに入れ、避難するよう求めている。「ペットがいるからといって家にとどまるのは、人とペットの双方にとって危険。速やかに避難して」と広島県食品生活衛生課は呼び掛ける。

 ただ、同行避難は飼い主とペットが同じ空間で過ごす、という意味ではない。同省のガイドラインでは、ペットと避難者の居室を別々にするよう定めている。

 なぜか。背景には動物が苦手だったり、アレルギーの症状が出たりする避難者への配慮がある。避難先では、ケージに入れた状態で施設内の飼育スペースに持ち込むか、屋根のある屋外での飼育が基本だ。

 県動物愛護センターは「ケージに入らなかったり常にほえたりすると、屋外に出さざるを得ない。基本的なしつけを普段から徹底して」と求める。逃げ出した場合に備え、迷子札や狂犬病予防注射済票を着けることも必要。親戚や友人など、一時的な預け先も事前に決めておきたい。

 また、飼い主はいざというときに備え、5日分以上の餌と水、食器、トイレ用品、ペット情報の記録をケージとともに用意しておくことも求められる。周囲からの理解や協力を得るには、飼い主自身のモラルや意識も欠かせない。

 「ペットを避難所の外に置いておきたくない」。そんな理由で、同行避難に抵抗感を抱く飼い主は少なくないだろう。実際、避難所でのペット対応は自治体によってまちまちだ。例えば広島市は全933カ所の避難所で受け入れるが、ペットの居場所は原則全て屋外。大竹市はペットと一緒に行ける避難所が2カ所しかないが、いずれも屋内に収容スペースがある。こうした情報は同センターや各市町のホームページ(HP)で確認できる。

 避難所のペット対応を拡充する自治体も出ている。熊野町は今月、全国的にも珍しいペット専用スペースを備えた「熊野東防災交流センター」を新設した。空調が完備され防臭加工された壁紙が使われている。ペットが屋外でリフレッシュできるスペースや足洗い場もある。また県は県獣医師会と連携し、避難が長期に及ぶ際の一時預かり事業を行っている。

 ペットは家族の一員という家庭は多いだろう。多くの住民が安心して避難できるよう、自治体には今後、きめ細かな態勢が求められそうだ。(千葉教生)

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