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Jポップの寵児の罪

2021/7/21 6:48

 Jポップという新語は1988年に誕生した。東京・六本木に開局した洋楽専門FM局に、唯一おしゃれな邦楽を流す番組「Jポップ・クラシックス」が編まれた。ライター烏賀陽(うがや)弘道さんのルポに詳しい▲折しもバブル景気の絶頂期で、ソニーが海の向こうの映画会社を買収しようかという時代だった。Jの1文字は「生まれ変わった日本」というニュアンスを込めてブームになる。Jリーグもそうだ。烏賀陽さんの言葉を借りれば「自信過剰の時代」の空気は音楽界にも満ちていた▲そんな時代に、小山田圭吾氏も頭一つ抜けた存在だった。若者を納得させる曲を紡いでいた人が、人の心を傷つける毒も吐いていたとは▲90年代半ばに雑誌の取材に応じ、障害のある同級生を巡る「いじめ自慢」を恥も外聞もなく繰り返す。「この場を借りて謝ります」の一文の末尾に(笑)とある。出版社は疑問を挟まず、再び世に出た雑誌もあった。告白と呼ぶ向きも今回あるが、反省なき告白など認められまい▲五輪開会式の概念は「感動でつなぐ力」。小山田氏の楽曲の4分間を差し替えてでも「感動」は継ぎはぎしたいのか。スポンサー企業もそろりそろり、遠ざかっている。

#東京五輪・パラ

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