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照ノ富士関と「綱の品格」

2021/7/22 6:32

 川柳にするなら<品格にがんじがらめの照ノ富士>といったところか。横綱昇進に際して、今回ほど「綱の品格」に念を押された例を知らない。まして難じられるはずの相手は本人でないのに▲他山の石は先輩横綱、白鵬関である。全勝対決となった名古屋場所の千秋楽で照ノ富士関を何度もにらみ、肘打ちを見舞う。土俵にはわせた頭上でガッツポーズ…。6場所続けての休場からの全勝優勝は文句なしだが、品格には「物言い」が付いた▲同じモンゴル出身の元横綱、朝青龍を思い出す。土俵の内外で傍若無人な振る舞いの揚げ句、相撲界を去った。「品格、品格と言われたけど土俵に上がれば鬼にもなる」が引退の弁だった▲強く、正しく、尊敬される―。それが横綱の理想とすれば、昭和の大鵬をはじめとする大横綱の対極に、朝青龍も白鵬関もいる。「青」と「白」の2人はしかし、一人横綱として角界の屋台骨を支えてきた。鬼の形相にもなろう。全勝街道を阻めぬ他の力士も意気地がないのでは▲どん底から復活を遂げた照ノ富士関はきのうの口上で、品格に加え「不動心」を挙げた。淡々としつつ、土俵への情熱と敬意を忘れない心掛けならば頼もしい。

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