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広島駅近くの新オブジェ、隠れているのなぜ【こちら編集局です】

2021/7/26 21:04
桜の木で「HIROSHIMA」の文字が見えにくいロゴオブジェ

桜の木で「HIROSHIMA」の文字が見えにくいロゴオブジェ

 JR広島駅(広島市南区)の近くに今春、白い文字で「HIROSHIMA」とかたどったオブジェがお目見えした。猿猴川を背景に広島の玄関口の絶好のフォトスポットとなるはずが…。近くの桜の木で、肝心の文字の一部が隠れて見えない。なぜこんな所に設置されたのだろう。経緯を調べてみた。

 オブジェは駅南側の猿猴川沿いの多目的広場「川の駅」近くにあり、高さ1・6メートル、幅6・5メートルのステンレス製。手前に桜の木がありロゴが見えにくい。散歩で訪れた介護職員三浦高敬さん(58)=中区=も「せっかくのフォトスポットも台無し」と首をひねった。

 オブジェを設置したのは市の第三セクターの広島駅南口開発などでつくるエリアマネジメント組織「広島駅周辺地区まちづくり協議会」だ。協議会によると、地域活性化の一環で3月下旬に完成。文字の裏側はベンチとして利用できるのが特徴だ。周りに夜間照明を配し、イベント用のいすやテントも購入した。市の補助金を活用し、事業費は約1千万円にも上る。

 なぜこの場所になったのか―。協議会の担当者によると、事業の話が持ち上がった昨夏、市と調整した上で、川に近く見晴らしの良い芝生スペースを候補地に選定。「川の駅」一帯は市が管理しており市も市有地と思い込んでいたという。

 しかし昨秋、設置の予定場所が広島県の護岸区域であることが判明。県と交渉を進めたものの、許可を得るには複雑な手続きが必要で、場所が決まらないまま年を越した。市に申請した補助金は2020年度中に終わる事業が対象だったこともあり、県有地に近い市有地に設置することになったという。

 だがその市有地には桜の木が植わっていた。既にオブジェの大きさは決まっており木の奥側でないと敷地内に収まらなかった。木の移植も検討したが、花が咲き始めており造園会社から「枯らす危険がある」とストップがかかり断念。その後、花が散って葉桜になり始めた5月以降「木が邪魔でオブジェが見えない」との声が市や協議会に寄せられるようになった。

 事業を担当した協議会の中島正人さん(47)は「『見えにくい』という意見は分かる」とし、その都度経緯を説明しているという。市広島駅周辺地区活性化担当の中田忠課長は「計画当初の段階で、土地についてきちんと把握しておくべきだった」と反省する。

 協議会は現在、今年の秋か冬に木を別の場所へ移す方向で検討している。「新型コロナウイルス禍が落ち着けば、オブジェ周辺でイベントも開きたい」と中島さん。いつの日か、多くの市民や観光客たちが集うスポットとなることに期待したい。(千葉教生)

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