「原爆の日」特集

「黒い雨」訴訟外も救済へ 首相談話を閣議決定

2021ヒロシマ2021/7/28 10:09

 米国による広島への原爆投下後に降った「黒い雨」を巡る訴訟で菅義偉首相が上告断念を決めたことに伴い、政府は27日、広島高裁判決で勝訴した原告84人以外の被爆者認定についても「訴訟への参加・不参加にかかわらず認定し救済できるよう早急に対応を検討する」との首相談話を閣議決定した。田村憲久厚生労働相は同日、広島県、広島市と連携し認定基準の指針改定に乗り出すと表明した。

【黒い雨訴訟 首相談話全文】

 首相談話は国政の重要事項に関する首相の公式見解を指す。今回の原告について「一審、二審を通じた事実認定を踏まえれば、一定の合理的根拠に基づいて被爆者と認定することは可能」と判断。原告と同じような事情の人も認定できるよう検討すると明記した。

 具体的な認定の仕組みについて、田村厚労相は報道陣に「広島県、市と相談して指針を作っていく」と説明。84人と同じエリアで黒い雨を浴びたり、同様の病気を発症したりしているかを見極めるための審査基準をまとめる考えを示した。時期は「なるべく早く」とし、長崎県、市とも協議する方針という。指針改定による個別認定とは別に、援護対象区域(大雨地域)を再検証する有識者会合は「加速化」を約束した。

 首相談話は一方で、首相が26日に上告断念を表明した際に指摘した「政府として受け入れがたい部分」に言及。広島高裁判決が内部被曝(ひばく)の健康影響を科学的な線量推計によらず広く認めるべきだとした点に関し「これまでの被爆者援護制度の考え方と相いれない。政府としては容認できない」と主張した。

 補足する形で田村厚労相は「福島第1原発事故に限らず、被爆者援護行政に関する過去の司法判断とも一致しない」と述べた。

 首相談話は「被爆者に寄り添った支援」も約束し、核の惨禍が繰り返されないよう「唯一の戦争被爆国として核兵器廃絶と世界の恒久平和を訴える」と結んだ。(下久保聖司、樋口浩二)

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