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サンマ裁判の苦み

2021/7/29 6:46

 沖縄でサンマが食卓に上るようになったのは、米国統治下の時代だという。マグロ漁の餌として日本から冷凍で輸入していた。魚の行商人がそれを解凍して売り出したのが始まりらしい▲当時、非課税だったはずの輸入サンマに、なぜか高い関税がかかっていた。理不尽だと訴訟を起こし、米国の圧政に立ち向かった魚屋さんのオバアがいた。奮闘ぶりは本土復帰運動の大きなうねりへとつながっていく▲その騒動を地元テレビ局が掘り起こしたドキュメンタリー「サンマデモクラシー」が東京などで上映中だ。オバアは裁判で勝つ。しかし沖縄の施政権を握る陸軍中将のキャラウェイ高等弁務官は認めず、布令を出して課税を続けた▲来月にはサンマ漁が本格化する。ここ2年は記録的な不漁が続く。安くてうまい庶民の味のはずが、昨年の値段は近年で最も取れた2008年の7倍に。さて今秋は、どうなるだろうか▲映画には、亡き翁長雄志(おなが・たけし)前知事が官房長官時代の菅義偉首相と面会するシーンを挟み込んでいる。基地問題で民意を袖にする姿勢が「キャラウェイに重なる」と翁長さんは言い放つ。わたの苦みを味わうたび、沖縄を思わずにはいられなくなりそうだ。

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