「原爆の日」特集

国超え「核なき世界を」 68ヵ国とEU参列

2014ヒロシマ2014/8/7 0:12
 雨の中、式典に参列した各国代表や国会議員。米国はケネディ大使(中央)が出席した(撮影・宮原滋)

雨の中、式典に参列した各国代表や国会議員。米国はケネディ大使(中央)が出席した(撮影・宮原滋)

 広島市中区の平和記念公園で6日にあった平和記念式典には、68カ国と欧州連合(EU)の代表が参列した。原爆を投下した米国のキャロライン・ケネディ駐日大使は初めて参列。しかし硬い表情を崩さず、報道陣の問い掛けにも終始無言のまま広島を後にした。

 ▽米ケネディ大使、口重く

 レインコートで参列したケネディ氏。同時通訳のイヤホンを通し、被爆者の体験談を盛り込んだ平和宣言や、小学生による平和への誓いに耳を傾けた。

 ケネディ氏は式典後「この日は厳粛な思いで、より平和な世界を築くための誓いを新たにする日です」との談話を東京の米国大使館から発表した。

 米国の政府代表の参列は2010年のジョン・ルース大使から5年連続。ルース大使は「私たちは核兵器のない世界の実現を目指し今後も協力していかなければならない」とする声明を発表したが、今回はオバマ大統領が掲げる「核兵器のない世界」に触れていない。

 ケネディ氏は20歳だった1978年にも、叔父の故エドワード・ケネディ上院議員と平和記念公園を訪れた。

 ▽英「不拡散考える機会」

 米国のケネディ駐日大使とは対照的に、一部の政府代表はあの日から69年の被爆地で抱いた思いを明かした。

 「この雨がなおさら深い悲しみを感じさせる」。英国のティム・ヒッチンズ大使は、自国の核兵器保有に触れながら「どう核拡散を防ぎ核兵器が存在しない世界をつくれるか、という問いを真剣に考えさせる機会だ」と感想を口にした。

 やはり核兵器を保有するロシアは、セルゲイ・エリセーエフ1等書記官が「(小学生の)『平和への誓い』が印象深い。次世代が平和への認識を深めてくれればいい」と述べた。

 カンボジアのチャウ・ソティラ臨時代理大使は、内戦を経た自国の歩みと被爆地とを重ねた。「広島の復興はすばらしい。被爆地のメッセージは世界の平和と安定に貢献している」と強調。キューバのマルコス・ロドリゲス大使は「日本の人たちに対する恐ろしい行いと、犠牲者たちのことを記憶し続けなければならない」と力を込めた。

 被爆地の訴えを継ぐ意思もあった。ボツワナのジェイコブ・ンカテ大使は「われわれのような小国でも国際社会での発言権はある。世界の国と連携し、核兵器の完全廃絶へ声を上げたい」と語った。

 式典に初めて出席したドイツのハンス・ベアテルン大使は中国新聞社を訪問。欧州の経験に基づいた東アジアの信頼醸成などについて、岡谷義則社長と意見交換した。(金崎由美、松本恭治、明知隼二)

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