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「もうひとつの」五輪開幕

2021/8/23 7:02

 東京パラリンピックのアーチェリー日本選手が急きょ出場を辞退した。他人の弓に触れたのが理由。殺傷能力が高い洋弓は安全上の決まりが厳しく、本人も反省していると伝わる。その心中やいかに▲第2次大戦終結後、英国で傷病兵のためのアーチェリー大会が催された。これがパラリンピックの起源。的に集中することが、車いすの人のリハビリにつながると考えられた。下半身まひを意味するパラプレジアの「パラ」が当初の語源でもあった▲〈失われたものを数えるな〉とは創始者グットマンの名言。〈残されたものを最大限に生かせ〉と続く。東京パラリンピック、あす開幕する▲本紙に郷土勢の連載が走る。悪性肉腫で左脚を失うが、カヌーと出会って人生に再び漕(こ)ぎだす男子選手。筋力が徐々に衰えるボッチャの男子選手は1年延期のリスクとも闘う。視覚障害のある女子選手はゴールボールに挑み、過去「ボコボコにされた」国との対戦を楽しみに待つ▲今のパラは「もうひとつの」を意味するパラ。五輪の添え物ではない。本来は多くの子どもたちの観戦を願いたいが、コロナ禍の今は難しいか。せめて、パラの意味が人々の記憶にとどまる2020であれ。 

#東京五輪・パラ

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