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行動制限緩和に賛否、ワクチン打てない人への差別懸念も【こちら編集局です あなたの声から】

2021/9/9 22:52

 ▽未接種者への差別懸念

 「経済を回さなければ」「また感染が増えるのでは」―。政府が9日に決めた、新型コロナウイルスの流行に伴う行動制限の緩和方針について、こちら編集局のLINE(ライン)で受け止めを尋ねたところ、読者の賛否が分かれた。ワクチンを2回接種しても感染する「ブレークスルー感染」が広がる中、日常生活をいつ取り戻せるのか、期待と不安が入り交じる。ワクチンを打てない人への差別を懸念する声もある。

 「これ以上の自粛はこりごり。ワクチン2回接種や検査の陰性証明を条件にした緩和には賛成」と、三原市の団体職員女性(53)は受け止める。そのほか、「コロナとの共生策を模索する時期」「飲食店に負担を強いていて不公平感があった」「接種を促す効果がある」などと評価する意見があった。

 特に、観光関連産業の思いは切実だ。ホテルなどの清掃をしているという広島県府中町の会社員男性(33)は「契約切りや人員整理で次々と人が減り、コロナにかかる前に、経済的に苦しくなり死ぬのではという恐怖さえあった。一人一人が感染対策をした上で、旅行や出張を再開してくれたら」と期待する。

 一方、感染者数が依然多い中で制限緩和の議論が進むことに、不安の声も多い。「変異株やブレークスルー感染が問題になっているのに時期尚早。すぐにまた感染者が増える危険性がある」と、広島市東区の男性(66)は心配する。

 安佐南区の会社員女性(49)は「現段階で発表をすることで、また緩みが出るのでは」と指摘。昨年、「GoToトラベル」が人気となった後に感染が急拡大したことを引き合いに、緩和に慎重になる声も目立った。「治療薬の普及を待つべきだ」「衆院選前のパフォーマンスに思える」との投稿も複数寄せられた。

 「ワクチン接種の強制につながりかねない」との意見もある。複数のアレルギーがあり、接種できないという広島市安佐南区の看護師女性(46)は「視線が怖くなる。社会生活を円滑に送れなくなってしまうのか」と不安がる。未接種者への差別を助長しないよう配慮を求める声も上がった。(高本友子、田中美千子、石井雄一) 

 ◇経済回す道筋に/医療の逼迫続く

 広島県医師会の松村誠会長(71)の話 行動緩和を考えるのは時期尚早で危険だ。流行の第5波はピークを抜けつつあるが、デルタ株の正体が見えないまま、次なる変異株が出現。「ブレークスルー感染」も増え、各地で医療が逼迫(ひっぱく)している。方針の発表は「もう大丈夫」との誤ったメッセージの発信にもなりかねない。感染はコントロールできておらず気を引き締めて感染対策を続けるべきだ。

 ひろぎん経済研究所(広島市中区)の佐々本博士・経済調査部長(54)の話 行動制限緩和のスケジュールが示されたことが大きい。消費者にとって、旅行などの計画も立てやすくなる。研究所の調査では、コロナ収束後に旅行や外食に行きたいと考えている人は多い。11月は、宮島(廿日市市)をはじめとした観光地の行楽シーズンとも重なる。感染対策を続けつつ、経済をどう回していくか。一つの形が示されたのではないか。

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