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野党共闘 埋没せず政策示せるか

2021/9/14 6:49

 自民党総裁選が注目を集める中、次期衆院選に向けて野党も動きを活発化させている。

 立憲民主、共産、社民、れいわ新選組の野党4党は先週、共通政策に合意した。消費税減税や原発のない脱炭素社会の追求などを掲げた。

 自民の総裁選びに埋没せず、野党がどう存在感を示せるか。政策を練り上げ、政権交代選挙として国民にアピールできるかが問われる。

 4党の共通政策は、安全保障関連法の廃止を訴える「市民連合」の政策提言に、4党首が署名する形で合意した。衆院選に向けた事実上の政策協定だ。

 格差や貧困の是正、最低賃金の引き上げ、さらに科学的知見に基づく新型コロナウイルス対策、コロナ禍に乗じた「憲法改悪」への反対を列記した。

 コロナ禍に伴う倒産、失業への財政支援も早急に求められる政策だが、財源には触れていない。掲げた政策に肉付けして説得力を持たせ、実現への道筋を示すことが求められる。

 コロナ対策などが批判を浴びて、菅義偉首相は退陣へ追い込まれた。しかし野党が菅政権への批判の受け皿になっていないのも現状だ。

 共同通信社による今月初旬の世論調査で、菅内閣の支持率は30・1%。2012年の政権奪還以降の最低を更新した。しかし政党支持率は自民46・0%に対し、野党第1党の立民は12・3%で大きく水をあけられている。

 菅首相の退陣表明で野党は批判の矛先を失った。次の自民総裁選びが関心を集めており、共闘で打開を図るしかあるまい。

 だが今回、国民民主党は協定に加わらなかった。原発ゼロ方針に対し、党内で反発が出たほか、共産との連携に拒否感が根強いためだ。とはいえ政党支持率は0・8%にとどまる。どう選挙に臨むつもりか。

 19年参院選では野党5党派が32の改選1人区で候補を一本化し、10勝した。今春の衆参3選挙、先月の横浜市長選でも野党が連勝している。衆院選で活路を見いだすため、共闘への協力を呼び掛けるべきだろう。

 一方、岸田文雄前政調会長や河野太郎行政改革担当相、高市早苗前総務相の総裁選3候補は発信に余念がない。ところが党内での支持拡大を意識したか、河野氏が原発政策や皇位継承策で持論の封印へ動くなど、対立軸は曖昧になっている。

 その上、森友学園問題をはじめ安倍晋三前政権の疑惑解明への消極的姿勢も共通している。「キングメーカー」と目される安倍氏への配慮に違いない。そのような体質では金権政治との決別は期待できまい。

 きのう立民の枝野幸男代表は「多様性を認め合う差別のない社会」実現を政権公約として発表した。選択的夫婦別姓の制度や、LGBTなど性的少数者平等法などの実現を訴えた。自民内には異論が多く、実現の見通せない課題だ。どれだけ国民に浸透させられるか。

 今後、小選挙区の候補者一本化へ、立民は共産と調整を進める。だが共産との連立政権は考えていないという。有権者には矛盾して映り、本気度が伝わらないのではないか。

 どういう政治を目指し、政権の姿はどうなるのか。共通政策を軸に、十分な協議をした上で示さねば、国民には届くまい。 

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