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戸籍の名前、読み仮名どうなる

2021/9/15 6:57

 「戸籍の名前/読み仮名/どうなる?」という本紙セレクトの主見出しに、オヤッと思った人もいるだろう。実は戸籍には読み仮名の欄がない。手近な公文書である運転免許証を眺めても、確かにない▲法務省が戸籍の名前にルビを振るべく検討に入るという。今は出生届に読み仮名の欄はあっても戸籍には記されない。いわば「名乗り」の法制化になる。となると「キラキラネーム制限も」の脇見出しが気に掛かる。法制化されたころには何が起きるのやら、きな臭く思えてくる▲まずどうやって全国民の読み仮名を「収集」するか。収集とは官の物言いだが、既に戸籍がある人も対象となると、お役所の仕事は難儀だろう▲今のところ、届け出を義務にする案があれば、首長の職権で戸籍に記す案もある。これを機に読みだけ変えたい人はどうする。親が届けた読みに異を唱える場合は―。法務省の研究会は事例を挙げて先読みしているが、読み通りに進むとは限らない▲夏目漱石は自作で「お汁粉(しろこ)」「一張羅(いっちょうらい)」などと独特のルビを振って、譲らなかったという。漱石のように一概な人はいまいが、一つの漢字が幾つもの読みを持つ、日本文化の根の深さを思ってもみる。

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