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市販打ち上げ花火、どこでなら使える?【こちら編集局です あなたの声から】

2021/9/15 21:03
打ち上げ花火を見つめる小学生。近くの公園では打ち上げが禁止されているという

打ち上げ花火を見つめる小学生。近くの公園では打ち上げが禁止されているという

 ▽公園や河川敷、防波堤は「禁止」

 「ホームセンターで花火セットを買ったら、打ち上げ花火が入っていた。近くの公園は打ち上げ禁止だし、捨て方も分からない」。広島市安佐南区の小学3年男児の母親(38)から編集局にこんな声が寄せられた。各地の花火大会は新型コロナウイルス禍で中止が相次いだ。「せめて家庭で楽しみたい」。子どもたちの願いはかなえられるのか。打ち上げ花火を巡る規制を調べた。

 市販の打ち上げ花火は主に円柱状で、10〜30メートルほど上空で数発打ち上がる仕組みだ。母親は「自宅の庭や公園では、近所迷惑になるのでは」という。

 確かに市のホームページを見ると「市内の全ての公園で禁止」とある。市緑政課の担当者は「騒音や火気など近隣へ迷惑を及ぼす恐れがあるため」と述べる。一部の祭りなどで認める場合もあるが、基本的には「市公園条例の禁止行為に該当する可能性があり、認めていない」という。

 ならば河川敷はどうか。同課が管理する河川敷は同様の理由で認められていない。太田川河川事務所(中区)は「できない」との回答だ。根拠となる法や条例はないが、手持ち花火に比べて音が大きく、高く打ち上がるため「しないようお願いしている」という。

 市街地から離れた海岸はどうだろう。広島県港湾振興課に尋ねると「岸壁、防波堤、堤防などの港湾施設では港湾法や港湾施設管理条例で禁止」という。

 小学生が花火で遊ぶ場所に困っていることを伝え「砂浜であれば危険でないのでは」と聞くと、「潮の満ち引きがある場所は海になるので、禁止とは言えない。マナーや安全に気をつけて」とのことだった。

 市内外の複数のキャンプ場もだめ。投稿者が住む安佐南区の維持管理課や消防署に問い合わせたが「ここなら大丈夫」とお墨付きが得られる場所はなかった。

 公益社団法人日本煙火協会(東京都中央区)によると、「市販の打ち上げ花火は『玩具煙火』で、遊ぶのに許可は必要ない。ただ、自治体の条例など規制があるケースもある。騒音などを理由に、可能な場所を具体的に提示しない自治体が多い」という。

 母親は「仮に捨てるにしても、廃棄方法が分からない」と嘆く。広島市環境局に聞くと「未使用の打ち上げ花火は、手持ち花火と同様に水でぬらし『可燃ごみ』で」と教えてくれた。火薬を取り出すことは危険なのでやめよう。

 結局、騒音に配慮し、木々など燃え移るもののない広い場所を探すしかなさそうだ。

 昔のように、打ち上げ花火を家庭で楽しむのは難しい。時代とともに、騒音への配慮がより求められているからだろう。だからこそコロナ禍が収束し、皆で夜空の大輪を眺められる花火大会が待ち遠しくなる。(文・江頭香暖、写真・大川万優)

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