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褒め上手の風土と大谷翔平投手

2021/9/21 6:46

 同じ「赤」ヘルでも米大リーグのファンは意気揚々だろう。何しろエンゼルスの二刀流、大谷翔平投手が同じシーズンでの2桁勝利、2桁本塁打まであと1勝と王手をかけている▲「野球の神様」とたたえられるベーブ・ルースに肩を並べる記録とはいえ103年ぶりという大昔の話である。どれほどの偉業なのか、とても肌感覚では伝わるまい。現地報道は知恵を絞り、最上級の形容を競い合う▲「現代のルース」と呼ぶのに飽き足りず、空想の一角獣になぞらえた実況もあると聞く。「ユニコーン」。もはや現実離れの存在として受け止められているのだろう▲10勝目はお預けとなったものの、本人の笑顔には救われる。記録目前のプレッシャーなど、どこ吹く風といった趣である。褒め上手で楽天的な、お国柄の成せる業かもしれない。職場や学校、家庭を問わず、「グッジョブ」と何はさておき肯定する▲比べて、褒め言葉の「持ち球」がぱっとせず、また真に受けないのが私たちの社会だろう。尻がこそばゆくなったり、歯が浮いたり。慣れぬ賛辞には、ついつい裏読みが先に立つ。翔平をもじった「ショー・タイム」から、褒めて育てる流儀も学びたくなる。

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