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えっ、ファミリープール廃止? 広島市民「子育て世代が遊べる場所残して」【こちら編集局です あなたの声から】

2021/9/23 20:28
移転や廃止が検討されている広島市中区の中央公園ファミリープール(7月1日)

移転や廃止が検討されている広島市中区の中央公園ファミリープール(7月1日)

 広島市が検討している中央公園ファミリープール(中区)の移転や廃止について、安芸郡の主婦(58)から編集局に「幼児から大人まで楽しめる貴重なプール。廃止の検討に驚いた」と疑問の声が寄せられた。市の担当者に聞くと、老朽化が進み、改修して残すとしても現在地では難しいという。都心の一等地にありながら、夏季限定の利用施設である点も課題に挙げた。

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 今年で開設42年を迎えたファミリープール。移転や廃止の検討は、中央公園内にある図書館やこども文化科学館などの市有施設を再配置する一環として、市が今月明らかにした。市緑政課の片桐清志課長は「廃止が前提ではない。検討も急いでいない」と前置きした上で「5〜10年後の中長期でみると現在地での存続は難しい」と強調。主な理由として老朽化と、現在地では魅力を高める改修が難しい点を挙げた。

 国の基準でプール本体の耐用年数の目安は30年。ファミリープールは大幅に過ぎた。配管やポンプも古く、細かな修繕で延命を図るには限界があるという。

 機能と効率も課題に挙げた。現在は子ども用プール、流れるプール、50メートルプールの三つだけ。専用駐車場がないことへの苦情は多い。市議の一部は年2カ月間の稼働にとどまる点を問題視する。

 市はこれらの課題を解決するため、仮に改修するなら、駐車場の整備▽年間を通じて使える屋内プール化▽ウオータースライダーなど幅広い世代が楽しめる施設整備―が要ると説く。現在地より広い用地が必要となり、中央公園内での実現は難しいとの結論に至っているという。

 全国的にみると、公立プールは減少している。総務省の調査によると、2019年度末時点で3502カ所。10年前と比べて581カ所(14・2%)減った。同省は、高度経済成長期に造られて更新期を迎えたが、少子化による需要低迷や厳しい財政状況を背景に閉鎖されている、とみる。

 今月5日には愛知県豊橋市が開設56年の市民プールを閉鎖。老朽化に加え、周囲にレジャータイプを含む民間プールが増えたためという。高松市は16年度、老朽化を理由に開設43年の市民プールを5年以内に廃止する方針を発表したが、存続を求める市民の声を受けて5年の期限は撤回。施設が使える間は存続させる方針に転じた。廃止の方針は維持している。

 一方、横浜市は老朽化で休止中の本牧市民プールにウオータースライダーなどを新設。夏場以外はバーベキューを楽しめる施設として、23年に再開する。

 広島市の中央公園では、市がサッカースタジアムを建設する。Jリーグの公式戦での使用は年20〜25日程度で、試合のない日のにぎわい創出が課題。本社に疑問を寄せた女性は稼働日数が少ないのはファミリープールだけではないとし「娘も孫も通う思い出のプール。子育て世代が遊べる居場所を残して」と訴える。

 「当面は現在の形を維持し、さまざまな可能性を模索したい」と片桐課長。廃止や移転をした場合も、跡地には親子で楽しめる空間づくりを検討するという。多くの市民になじみの深い施設であり、丁寧な議論で結論を見いだす努力が求められる。(新山創)

 <クリック>ファミリープール 1979年開設。約2ヘクタールの敷地に1周260メートルの流れるプール、50メートルプール、滑り台のあるこどもプールがある。毎年7、8月に開園。初年度に最多の30万1797人が訪れた。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で休館が続く前の10年間(2010〜19年度)の入園者数は年9万〜13万人台だった。入園料は大人760円、小学生―高校生340円。

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