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何も終わってはいない

2021/9/24 6:39

 今を時めくハリウッド映画が水俣病をどう描いたのだろう。「MINAMATA―ミナマタ―」がきのう、広島市内でも封切られた。公開に先立って、絶版だった写真集も復刻されている▲公式確認から既に65年。患者さんからは異口同音のメッセージが聞こえてくる。「水俣病は終わっていない」。政治家は割って入り、「最終解決」の救済策をやたら示したがる。そんな線引きで、はじかれた患者さんの認定訴訟が繰り返されてきた▲解決したか否か。判断を下せるのは、被害者たる患者さんのほかに誰がいるだろうか。工場が海に水銀を垂れ流し、引き起こした中毒事件だ。全貌をまともに調べもせず、幕引きばかりを急ぐ気が知れない▲くしくも封切り前日、臭い物にふたをする自民党本部の釈明会見があった。広島に汚名を着せた、おととしの参院選買収事件にまつわる1億5千万円問題である。普段は壁紙みたいに背後で並ぶ面々が見当たらない。党総裁選の騒動に紛れ、幕引きを―といった魂胆もうかがえる▲大金をつぎ込んだ側も含め、まな板の上の鯉(こい)には包丁を握る資格などない。「金権選挙」の真相解明は、終わっていない。まだまだ、黙っとれん。

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