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東京小6いじめ自殺 デジタル化まず教育を

2021/9/25 6:00

 東京都町田市立小6年の女児が昨年11月、ネット上でのいじめを訴える遺書を残して命を絶った。学校が児童に配ったタブレット端末に悪口を書き込まれていたという。学習機材が子どもを死に追いやったとすれば、ゆゆしき事態である。

 この学校は文部科学省が推進する「GIGAスクール構想」の先進校で2年前から1人1台端末を導入していた。ネットを適切に使うリテラシー教育やいじめ対策は十分だったのか。徹底的に検証する必要がある。

 女児は遺書に同級生2人の名前を挙げ、何度も「縁を切る」などと言われたことが苦痛だと訴えていた。2人を含む4人が授業中に端末のチャット機能を使って、女児について「きもい」「死んで」と書き込み、本人にも送信していたという証言もあった。

 いじめは4年生の頃に始まったとみられる。遺族は「端末がいじめの温床になった」と主張している。学校は昨年9月のアンケートでいじめの兆候を把握していたものの、当事者同士で解決したと判断し、女児の両親に伝えていなかった。

 町田市は新たに第三者委員会を設け、自殺の経緯やいじめとの関係を調査すると明らかにした。常設の「いじめ問題対策委員会」で調べていたが、女児の両親が第三者組織による調査やり直しを求めていた。尊い命が奪われたことを重く受け止め、再発防止につなげてほしい。

 デジタル化に加え、コロナ禍でオンライン授業への対策が求められている。文科省が全国の小中学生に端末の配備を進めるのは、自然な流れだろう。ただ、悪用を懸念する声は根強い。同省は全国の教委などに、取り扱い上の注意点を伝えてきたという。今回のいじめは、それが不十分だった証しではないか。再点検を急ぐべきだ。

 女児の学校では当初、パスワードが全員同じ「123456789」に設定されていた。個人に割り振るIDも通し番号で推測しやすく、「成り済ましも容易だった」との証言もある。

 教員による指導やチェックは欠かせない。セキュリティー管理も含め、学校側の体制づくりは端末を配布する前にすべきことだろう。1人1台に端末が配られる今、町田市の学校だけの問題ではないからだ。

 2016年に山口県周防大島町の大島商船高専で男子学生が自殺した問題でも、再調査委員会は、クラスメートによる会員制交流サイト(SNS)でのいじめなどが原因とする報告書を、先週提出している。

 学校配布の端末の管理の在り方だけ問題にしても、ネットいじめの問題は解決しないということだろう。いじめは命を奪うほど人を傷つける行為であることを再確認し、その上でネットの功罪を教えるべきだ。

 ネットは匿名性が高く、他人に成り済ますこともできる。ひどい言葉を他人に浴びせるなど、対面では決してしないような行為を、軽い気持ちでしてしまう恐れがある。

 SNSをはじめとするネットとどのように付き合うべきか、家庭や学校でしっかり話し合い、ルールを決めることが大切だ。教委や学校は、ネット空間でのいじめはどこでも起こり得る前提で、悪用を防ぐ教育や対策を急がねばならない。

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