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紙なしトイレに不満続出 JR福山駅、乗車人数県内2位にもかかわらず【こちら編集局です あなたの声から】

2021/10/3 21:25
トイレットペーパーがないことを知らせる福山駅のトイレ

トイレットペーパーがないことを知らせる福山駅のトイレ

 「JR福山駅のトイレに紙が備え付けられていない。使うたび焦る」―。福山市の主婦(45)から、そんな声が届いた。同駅の1日の平均乗車人数は新型コロナウイルス禍前の2019年度は2万人を超え、広島県内のJR駅では広島駅に次いで2番目に多い。市民や観光客が大勢行き交うターミナル駅になぜ紙がないのか。理由を追った。

 ▽改札内はあるのに「放火防止」

 主婦が指摘したのは、在来線改札口を出て左手の約30メートル先にあるトイレ。入り口に「このお手洗いはトイレットペーパーの設置はありません」と、日本語と英語の注意書きがある。隣接する男子トイレの個室も、紙どころかホルダーさえ見当たらない。周辺の別のトイレは駅南北の広場と駅直結の商業施設内にあるが、いずれも歩いて1分半ほどかかった。もし急な腹痛に襲われたら、果てしなく遠いと思うだろう。

 ツイッター上では少なくとも10年以上前から「ポケットティッシュ持っていたから助かった」「紙置いてないとか罠(わな)だ」など戸惑いの声があふれている。利用者はどう感じているのか。通学で使う男子高校生(15)は「正直いい気がしない。福山のイメージも悪くなるのでは」と不満そうだ。一方、別の女子高校生(16)は「いつも改札内のトイレを使っているので知らなかった」という。改札内のトイレに入ってみると、確かに紙はあった。

 なぜ問題のトイレだけ紙がないのか。管理するJR西日本岡山支社に尋ねると、「過去に管内でトイレットペーパーに火を付けるぼやが発生したり盗難が起きたりしたため」という。それ以上の説明はなかったが、最近でも18年に福山駅でトイレットペーパーなどが焼かれる放火事件が発生している。ただ、危険性はどこのトイレも同じ。この場所だけ紙がない理由にはならない。

 問題のトイレは駅北口に面し、外に出れば福山城の石垣が見える。市は来年の築城400年記念事業に力を入れ、観光客を誘致しようとしている。玄関口の駅のトイレに紙がない現状をどう考えるのか。市観光課に尋ねたが、「JRの管理なのでコメントできない」と人ごとのようだった。

 駅近くの78店舗が加盟する福山駅前商店会役員の貝原大和さん(35)は「紙を置く置かないの議論は別」とした上で、「盗難対策や有料の紙自販機を置くなどいろいろ方法があるのでは」と首をひねる。

 トイレの改善を通じ、より良い社会づくりを考えるNPO法人「日本トイレ研究所」(東京)の加藤篤代表理事(49)は「そこにトイレがあるのは需要があるから」と強調する。その上で「一番大切なのは安心して使えるための準備。工夫をして、どんな人でも不便を感じないトイレにする必要がある」と指摘する。

 自治体が市民の要望を受けて、駅のトイレを一新させた例が身近にある。東広島市は本年度、山陽新幹線の東広島駅のトイレを市が全額負担して改修する。18年の西日本豪雨で在来線の代替輸送の拠点になったのがきっかけで、これまで備え付けの自販機で買うしかなかった紙が今後は常備されるようになるという。

 駅は街の顔だ。もし観光客がトイレで嫌な思いをすれば水に流してはくれないだろう。県内第2の都市は、おもてなしの姿勢を問われている。(猪股修平)

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