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不登校過去最多 背景もっと深掘りせよ

2021/10/21 6:50

 不登校の小中学生が2020年度、全国で19万人を超え、前年度より1万5千人近く増えて過去最多となった。

 各校からの報告をまとめた文部科学省の「問題行動・不登校調査」で分かった。新型コロナウイルス禍に伴う生活環境の変化が子どもの行動に影響を及ぼしたと分析している。

 病気や経済的な事情を除いて、年間30日以上欠席した場合に不登校と判断される。小学生は約6万3千人。約13万2千人に上った中学生は、6割強が90日以上の長期欠席だった。

 このほか感染への不安などを理由に、30日以上にわたって登校を控えた小中学生も2万1千人ほどいた。

 不登校の主な要因は「本人の無気力、不安」が最多で、5割近くを占めた。「生活リズムの乱れなど」も12%に上った。

 20年度は新学期のスタートとともに全国の学校が一斉休校となった。再開後の生活に適応できなかったり、新しいクラスになじめなかったりした児童・生徒もいたはずだ。

 登校しても「3密」にならないよう級友たちとも距離を保ち、給食も黙って食べなければならない。部活動が制限され、楽しみにしていた行事も次々に中止となった。

 感染防止対策の徹底はやむを得ないにしても、我慢を強いるばかりの学校生活に息苦しさを感じ、ストレスを高めて登校する意欲をそがれた子どもが多かったのではないか。

 コロナ禍の影響は否定できないが、不登校に至る経緯はさまざまで、原因も複合的だ。学校と家庭が連携し、不登校の子どもたちが抱えている事情を丁寧に分析し、要因の背景をもっと深掘りすることが求められる。

 小中高生の自殺が大幅に増えていることも看過できない。20年度は415人で、前年度から98人増え、過去最多になった。極めて憂慮すべき状況だ。

 置かれていた状況が分かるケースでは「家庭不和」「精神障害」「父母からの?責(しっせき)」などが目立つ。家計の収入が減ったりテレワークなどで保護者の在宅時間が増えたりして家族の関係に悪影響が及んだ恐れもある。

 文科省の有識者会議はコロナ禍に伴う在宅勤務の拡大などを踏まえ、「親のいらだちの矛先が子どもに向かいやすくなっている」と指摘した。貧困や虐待など家庭に問題があった場合、居場所や逃げ場がなくなってしまうのかもしれない。

 大切なのは、一人で悩みを抱え込むことのないよう子どもを孤立させないことだ。悩みを相談しやすくし、子どもの不調のサインにいち早く気付いてあげることが欠かせない。

 だが、学校現場の努力だけでは限界がある。教員は通常業務に加え、感染防止対策などで多忙な状況が今も続いている。子どもをよく見るためには、余裕が必要だ。

 文科省はスクールカウンセラーの増員などで学校の相談体制の充実を図るとしている。他人に助けを求めることの重要性を学ぶ「SOSの出し方教育」の推進や、会員制交流サイト(SNS)を活用した相談窓口の設置なども検討する。

 行政機関やNPO法人などと連携し、現場の子どもたちのサインを受け止める側の態勢を早急に充実させる必要がある。 

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