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衆院選「余った投票用紙、どうなるの」【こちら編集局です あなたの声から】

2021/10/23 20:58
衆院選の投票用紙を点検するスタッフ(9月7日、広島市中区)

衆院選の投票用紙を点検するスタッフ(9月7日、広島市中区)

 表面はサラサラで鉛筆が吸い付くような、選挙の投票時に書く「あの紙」。「最近は投票率が低迷しているが、余った投票用紙はどうなるんですか」と、広島市西区の30代男性から声が編集局に寄せられた。広島県選管では投票用紙の印刷ミスで、約1200万円の余計な県費負担が生じることが判明したばかりだ。民主主義の根幹をなし、多額の税金が投入される選挙。投票に行かないことで発生する「もったいない」コストを調べた。

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 「あの紙」を開発したムサシ(東京)によると、実は紙ではない。「BPコート」といい、素材はプラスチックなのだという。折りたたんで投票箱に入れても、自然と開くため、開票時間を大幅に短縮できる。31日に投開票の衆院選でも全国で使われる。

 6月1日の県の選挙人名簿数は232万8626人。県は今回、小選挙区と比例代表、最高裁裁判官の国民審査の計3種の投票用紙を各236万9600枚(点字用紙や船員不在者用紙含む)印刷した。なぜ多めに刷ったのだろう。

 ▽広島県内の印刷3086万円、重い「1票」

 投票用紙の印刷枚数について、公選法で規定がある訳ではない。ただ県は「全員が投票の権利を行使するのを前提」に実際の選挙人数より多く刷っているという。書き損じでの交換や、転入による人口増にも対応できるようにするためだ。

 一方で低投票率は続く。前回の2017年10月の衆院選で、県内の投票率は50・17%。その前の14年も戦後最低の50・02%だった。県選管に投票されなかった紙の行方を聞くと、「焼却処分」されるという。再利用する方法もなくはないが、プラスチックのため難しく、大半の自治体でごみとして燃やされている。

 今回の衆院選の投票用紙の印刷には計3086万円かかっている。もし今回の衆院選が前回と同じ投票率50・17%だと仮定すると、約1537万円が無駄になる計算だ。もったいない。

 他に、投票しないことで無駄になる費用はあるのだろうか。

 衆院選の費用は国が全額負担する。つまり税金だ。県によると、今回の衆院選の予算は17億4100万円。内訳は、投開票所の設営費や投票所入場券を配送する事務費などを含めた市町への交付金が11億6400万円▽選挙運動用のポスター制作など候補者の選挙運動を負担する選挙公営費4億2800万円―など。

 投票しないことで直接的に無駄になるものは、投票用紙以外には見当たらない。ただ市町の交付金に含まれる投票所入場券の印刷などは、選挙の啓発になり得るが、投票に行かない場合は結果的に無駄になるとも言える。

 衆院選の県内の費用を県の選挙人の数で割ってみた。1人当たり約750円になる。「選挙にお金がかかりすぎていないか」という視点ももちろん必要だが、民主主義の根幹をなす選挙にはそれだけ価値があるということだろう。

 1票は重い。責任ある行動が求められる。(高本友子)

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