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<'21衆院選>エネルギー政策 脱炭素への具体策示せ

2021/10/24 6:49

 豪雨や干ばつなど、地球温暖化が引き起こす気象災害の影響は、国内外を問わず深刻さを増している。その原因となる二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスを出さない脱炭素社会をどう実現していくのか。気候変動対策とそれを裏打ちするエネルギー政策も、衆院選での重要な争点になろう。

 政府は昨年、2050年までに、温室ガスの排出量を実質的にゼロにする「カーボンニュートラル」を宣言した。その実現に向けて、30年度に13年度比で46%削減する中間目標も定めている。

 与野党ともカーボンニュートラルを目指す方針では一致している。再生可能エネルギーを重視する主張にも大きな違いはない。分かれるのは、発電段階ではCO2を排出しないとする原発の位置付けだ。

 11年の東京電力福島第1原発事故を経験し、多くの国民が原発を使い続けることに不安を感じている。

 自民党は事故を受けて「できる限り原発への依存度を低減する」と表明してきたが、電力の安定供給や脱炭素化の実現に向けて重要な電源と位置付けた。衆院選の公約にも「安全が確認された原発の再稼働」を明記し、小型モジュール炉と呼ばれる新型炉などへの投資も後押しするとしている。

 ただ連立を組む公明党は「原発への依存度を着実に低減し、原発ゼロ」を目指し、新設は認めないスタンスだ。

 野党は、立憲民主と共産、社民、れいわ新選組の4党が「原発のない脱炭素社会の追求」を共通政策を掲げ、自民との対決姿勢を強める。日本維新の会は「既存原発のフェードアウト」を目指すとし、国民民主党は代替電源が確立されるまで原発を活用するとしている。

 政府がおととい閣議決定した新たなエネルギー基本計画では、脱炭素実現に向けて再生エネルギーを補完する手段として原子力を明記し、30年度に発電量全体の20〜22%をまかなう現行目標を据え置いた。

 原子力の比率は19年度実績で6%にすぎない。基本計画の目標を達成するには、30基ほどの再稼働が必要となるが、福島の事故後に再稼働した原発は全国で10基にとどまる。

 事故から10年以上たったが、原発に対する国民の視線は依然として厳しい。原発を脱炭素の手段として使うというなら、まず国民の不信感を払拭(ふっしょく)することが欠かせない。

 使用済み核燃料を繰り返し使う「核燃料サイクル」は行き詰まり、増え続ける高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分地も決まっていない。原発の新増設をどうするかなど将来的な扱いも先送りしたままだ。原子力政策の将来像を示さないまま、原発の活用ばかりを訴えるのは無責任というほかない。

 脱原発を唱える野党にも説明責任はある。エネルギーは、経済活動や国民生活にとって不可欠だ。脱原発に向かいながら、電力の安定供給と脱炭素化を両立させる方策を明らかにしなければ、幅広い支持は得られないだろう。

 CO2排出量の多い石炭火力発電からの脱却も着実に進めなければならない課題だ。与野党とも、現実を直視した具体策を示す必要がある。

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