コラム・連載・特集

二つの「民主党」に困惑の声、実は変更間に合わず 衆院選比例の略称【こちら編集局です あなたの声から】

2021/10/28 23:04
投票所の記載台に張られる比例代表の届け出政党の正式名称(上側)と略称(下側)

投票所の記載台に張られる比例代表の届け出政党の正式名称(上側)と略称(下側)

 「『民主党』が二つあって紛らわしい。投票に支障が出るのでは」。衆院選(31日投開票)の期日前投票が進む中、広島市内の40代男性から困惑の声が寄せられた。比例代表の投票先を選ぶ際に、立憲民主党と国民民主党の略称がどちらも「民主党」になっているためだ。確かに分かりにくい。なぜそんなことになってしまったのだろうか。

【関連】投票用紙の名前間違え236万500枚印刷、1200万円でやり直し 広島県選管

【関連】動画で「#選挙を学ぼう」 18歳有権者「あるある」も

 ▽書けば案分「正式名記入を」

 まずは事実確認だ。広島市選管と中区選管を訪ね、期日前投票所の記載台に張り出す政党名の一覧表を見せてもらった。確かに、両党とも略称が「民主党」で、しかも隣り合わせ。正式名称も書いてあるが、戸惑う有権者もいるだろう。重度の障害者たちの郵便投票でも同じ一覧表が資料として自宅などに届く仕組みだ。

 もし「民主党」と書いて1票を投じたらどうなるのか。広島県選管によれば、「案分」という仕組みで分配されることになる。どちらの党を指す票なのか判断できない以上、両党の有効票に応じた割合で1票を分ける。1票を投じたつもりが0・7票や0・5票になるかもしれない。市選管も「特定の党についてだけ注意喚起するわけにはいかない」と苦慮する。

 「珍事」の背景には両党の再編が絡む。2019年の参院選では、立憲民主党が「りっけん」、国民民主党が「民主党」とすみ分けていた。その後、両党は再編を経て再出発。20年9月に総務省に政党として届け出た際、どちらも略称を「民主党」とした。

 届け出からは1年以上がたっている。どちらかが変更すれば混乱を避けられそうなものである。党はどう考えているのか。

 立憲民主党は「選挙が近づく中で変更の議論はあった」という。しかし略称は党の規約にも正式に記載されている。変更には衆参両院の総会や党大会での決定という手続きが要る。

 そこに公選法の規定が絡む。衆院選前に略称を変えるには「解散の日」か「任期満了の90日前」のどちらか早い方までに届け出なくてはいけない。今回は後者が該当し、7月下旬までに届け出る必要があった。立憲民主党は「党内で議論はしていたが、変更できる時期を過ぎて間に合わなかった」と話す。

 一方の国民民主党は、19年の参院選でも「民主党」で通しただけに「今までの略称を使い続けるのが自然だ」とする。とはいえ党本部にもわかりにくさを指摘する声は届いている。「もし次の選挙の前にも同じ状況があれば、対策を考える必要がある」とする。

 総務省によると、公選法には略称の重複を禁じる規定はなく、届け出通りに受理する。1992年の参院選でも、日本新党と国民新党がどちらも「新党」と届け、認められた。ただ、例外もある。昨年12月にNHKから自国民を守る党(現「NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で」)が略称「自民党」を申請したが、中央選挙管理会は「有権者の混乱をもたらす」などとして退けた。

 さて、今回の衆院選で有権者はどうすればいいのか。大切な1票を「目減り」させないためには、投票用紙に正式名称をしっかり書くのが良さそうだ。投票所でも郵便投票でも、資料には各党の正式名称が書いてある。よく確認して投票しよう。(明知隼二)

  • 「こちら編集局です あなたの声から」では、みなさんが日ごろ「なぜ?」「おかしい」と感じている疑問やお困りごとなどを募っています。その「声」を糸口に、記者が取材し、記事を通じて実態や話題に迫ります。以下のいずれかの方法で、ご要望や情報をお寄せください。

  • LINE公式アカウント

    LINE友だち登録またはQRコードから友だちになってトークをしてください
  • 郵送

    〒730-8677
    広島市中区土橋町7-1
    中国新聞社
    「こちら編集局です」係

    ファクス

    中国新聞編集局
    「こちら編集局です」係
    082-236-2321
  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

こちら編集局です あなたの声からの最新記事
一覧

 あなたにおすすめの記事

パートナー社

  • 中国新聞「こちら編集局です あなたの声から」は、双方向型の調査報道に取り組む全国のパートナー社と連携協定を結んでいます。記事をお互いの紙面やウェブサイトに掲載したり、情報の取り扱いを十分に注意した上で取材・調査テーマを共有したりします。地域に根を張るローカルメディアがつながり、より深く真相に迫っていきます。

北海道新聞 東奥日報 岩手日報 河北新報 新潟日報 東京新聞 信濃毎日新聞 中日新聞東海本社 岐阜新聞 京都新聞 神戸新聞 まいどなニュース 徳島新聞 西日本新聞 琉球新報