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コロナ対策の無駄遣い 際立つずさんさ、検証を

2021/11/12 6:35

 会計検査院が、国の官庁や政府出資法人を調べた2020年度決算の検査報告を公表した。税金の使い方に問題があると指摘したのは210件で、総額は2108億円に上った。

 とりわけ巨費が投じられた新型コロナウイルス対策の事業を巡り、ずさんな使い方が際立っていた。感染が拡大している緊急時とはいえ、不適切な予算執行や巨額の使い残しが許されるわけではない。政府は実態を再検証し、今後の再発防止に生かさなければならない。

 検査院は今回、コロナ対策費について、19年度分も含めて集中的に精査した。総額で65兆円余りの予算が計上されていたが、このうち執行できたのは65%にとどまり、23兆円近くが使われずに残った。大部分は次年度に繰り越された。

 コロナ対策の看板の下、各官庁が本当に必要な事業の精査を怠り、いたずらに規模を膨らませる予算編成が行われていたことが裏付けられた形だ。

 個別事業についても、ずさんな契約や管理、不適切な執行などによる無駄遣いが明らかになった。接触確認アプリ「COCOA(ココア)」の不具合を巡る対応については、開発したシステムのテスト体制やコスト管理が適切でなかったとして、厚生労働省に改善を求めた。

 国が全世帯に配布した「アベノマスク」と呼ばれる布製マスクについては、今年3月末の時点で8272万枚(115億1千万円相当)が残っていた。これを倉庫で保管するために、昨年8月から今年3月までだけで計6億円を費やしているというからあきれる。

 布マスクでは不良品が見つかり、自治体などが対応に追われた。そのための検品費用も21億円余りに上ったが、国の負担となった。配布の妥当性の検証はもちろん、これ以上、税金を浪費しないためにも、適切な処分方法を早急に検討すべきだ。

 コロナ禍の打撃を受けた中小企業などを支える持続化給付金事業を巡っても、5億9千万円の不正受給があった。雇用を守る企業を後押しする雇用調整助成金でも、不正受給や過払いが見つかっている。

 持続化給付金事業では不透明な業務委託にも注文が付いた。受託した団体から外部への再委託率は99%超に上っていた。最大で9次まで外注が繰り返され、契約状況の確認が難しくなっていたという。

 観光支援の「Go To トラベル」事業でも、停止に伴い予約のキャンセルを受けた旅行会社などに、政府は計1157億円の補償費を支払った。影響を受けた宿泊や観光などの関連業者にも公平に分けるよう要請していたが、適切に分配できたのかどうかが確認できなかった。

 効率よく事業を推進するための民間委託が裏目に出たのではないか。事業内容を十分精査せず、安易に民間企業に「丸投げ」する官庁の姿勢が招いた無駄遣いと言えよう。

 政府が近くまとめる経済対策は、数十兆円規模と予想されている。岸田文雄首相は今回の報告を真摯(しんし)に受け止め、「規模」ありきの財政出動から脱し、迅速で適切な予算の管理と執行を進められる体制づくりを急ぐ必要がある。臨時国会では、事業の妥当性や予算執行の在り方について議論を尽くすべきだ。 

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