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国会議員の文書通信費 使い道をガラス張りに

2021/11/23 6:43

 活動実態がなくても手当を受け取れ、使途を証明する領収書も要らない―。民間ではとても通用しないルールは改めなければならない。政治の世界であれば、なおさらだろう。

 国会議員に毎月100万円渡される「文書通信交通滞在費」(文通費)である。文書発送の際の切手代や、電話代をはじめとする通信料など、議員活動に伴う経費として支払われる。

 1日でも議員であれば満額受け取れ、10月31日の衆院選で初めて当選した議員にも10月分が支給された。10月分の航空券の無料券も渡されていたという。

 文通費支給に、日本維新の会の新人議員が異を唱えた。議員活動を始めていないのに受け取るのでは、国民の理解が到底得られないというのだ。

 文通費は課税もされず、使い道を公開したり余った分を返還したりする義務もない。こうした問題点はかねて指摘されてきた。「第2の給料」ともいわれる、不透明な実態を放置してきたのは議員の怠慢だ。抜本的な制度改正に取り組むべきだ。

 遅まきながら各党は見直しに言及し始めた。支給を日割りにすることや、新人議員の10月分の文通費寄付を中心に、12月召集予定の臨時国会で法改正をする議論が進んでいる。

 だが肝心なのは使い道をガラス張りにすることだ。私たちの税金が原資である以上、適切に使われていると国民に示す必要がある。領収書添付を義務付けて使い道をはっきりさせ、使わなかった分は返還する仕組みを制度化しなければならない。

 そのためには、一括前払い方式を改め、領収書と引き換えに実費を渡す後払い式にすることも検討すべきだろう。手間と時間がかかるというのであれば、出納が自動記録できるクレジットカードや電子マネーで支給する方法もある。日割りにして済まそうというのは、問題の矮小(わいしょう)化ではないか。

 文通費の目的が文書や通信費である以上、使い残した分を国会議員自らが関わる政党支部や政治資金団体に寄付として繰り入れることも禁じるべきだ。

 余ったことにして政治団体に移し替えれば、その先のお金の流れは見えなくなる。何に使われたか把握できなくなると、文通費が適切に使用されているのかチェックもできない。こうした「抜け穴」を、しっかりふさぐことを忘れてはならない。

 議員活動にお金がかかることは確かだろう。それでも文通費以外に毎月129万4千円の歳費や、年2回の期末手当、さらに公設秘書3人分の給与や飛行機や新幹線の無料パスなどが支給されている。議員宿舎も提供されている。

 受け取りを拒否している共産党を除き、各政党には総額で年300億円を超す政党交付金も支給されている。国民の負担額は少なくなかろう。議員はまずそのことを自覚する必要がある。襟を正さなければ「政治とカネ」問題で生じた国民の政治不信をさらに高めかねない。

 文通費見直しを機に、国会議員が受け取るお金や手当の全面的な検証が求められる。新型コロナウイルスの影響もあって国の財政は厳しさを増している。国会議員が自身の「無駄遣い」に目を向けることで、より大きな政府の無駄遣いを減らすことに、つなげてもらいたい。

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