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通行禁止の先に抜け道 狭い通学路、車が入ってきて児童が危険【こちら編集局です】

2021/11/28 20:49
石見銀山街道で接近する車をよけるため、退避スペースに移動する戸手小の児童(画像の一部を修整しています)

石見銀山街道で接近する車をよけるため、退避スペースに移動する戸手小の児童(画像の一部を修整しています)

 「小学生の子どもの通学路が狭いのに、車がどんどん入ってきて危険。どうにかならないか」―。福山市新市町戸手の30代父親から心配する声が寄せられた。詳しく聞くと、車の通行禁止の道の先に国道や市道の抜け道があるのだという。現場を歩き、背景や危険性を探った。

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 ある平日の午前7時半、児童の登校班に同行した。近くの素盞嗚(すさのお)神社から戸手小までの通学ルート。住宅や商店が立ち並ぶ道は、江戸時代に山陰から銀を運んだ石見銀山街道の一部だ。離合が困難な幅3・5メートル前後の狭い道が続く。街道を外れて住宅街の路地に入るまでの間、複数の車とすれ違った。児童はそのたび退避スペースに身を寄せ、車が通り過ぎるのをじっと待つ。

 福山北署によると、朝のラッシュの午前7〜9時は同神社東側の上戸手中交差点付近から銀山街道への通行が禁じられている。並行する国道486号や市道新市福田幹線が平日を中心に激しく混み、その迂回(うかい)路にされないようにするためだ。

 ただ、現地で見守りを長年続ける交通指導員の50代女性は「何度注意しても駄目」とため息をつく。規制を無視する車が絶えないのだ。福山北署によると、地元の要望を受けて一帯で定期的に取り締まりを実施。毎回十数件の違反者を摘発しているという。

 さらに銀山街道への車の進入を助長しているのが、父親が指摘する抜け道の存在だ。上戸手中交差点から北側一帯の通行禁止の道の先にある。別の日に確認すると、午前7時半から30分間に13台が通過していた。

 交通規制は、一般的に地元の要望などを受けた管轄の警察署が広島県公安委員会に上申し、決められる。寺田高士交通課長は「安全が第一だが、移動の自由を安易に制限できない。住民の意見を聞き、必要に応じて判断している」と説明する。

 近くに住む上戸手自治会の平田隆信会長(71)は「声に出さないだけでみんな危険とは思っているはず」と推し量る。一方で規制を広げれば住民が移動しづらくなることも懸念され、「抜け道への苦情は聞いたことがない」と話す。

 ▽「地元合意得られる対策を」

 解決策はあるのか。岡山大の橋本成仁教授(都市交通計画)に聞いた。規制範囲の拡大や規制内容の見直しなどにより「そこを通っても時間短縮につながらない手だてが必要」と指摘。さらに「どんな規制なら地元合意が得られるかも肝心」と強調する。

 全国で登下校中の児童が事故に巻き込まれるケースが後を絶たない。住民や自治体、警察が連携し「抜け道」と呼ばれるような危険の芽を摘んでいくことが求められる。安全な通学路を築くのに近道はない。(野平慧一)

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