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「着地」よければすべてよし

2022/1/15 6:48

 天下の将軍、徳川家康と伝説の歌姫、山口百恵さんには共通点がある。名前の子音を省き、母音で読むと、アイウエオが漏れなくそろっている。この人もそうだ。長らく世界の体操界に君臨してきた「ウイウアオウエイ」内村航平さん▲つり輪や鉄棒など6種目で争う個人総合で世界選手権6連覇と、人跡未踏の頂に立った。五輪でも2連覇を果たした。超の付く万能選手をたたえる称号「世界一のオールラウンダー」も当然かと命名の妙を改めて思う▲きのう記者会見で、競技の一線から引くことを明らかにした。今後は「演技者」としてやっていくという。フィギュアスケートの選手が舞台をアイスショーに移すようなものか▲笑みも時折浮かんだ口から、味のある話が数々出てきた。「世界一の練習が積めなくなった」「体の動く限り、体操を研究したい」…。道を究めてきたから開けた視界もあるはず。今後は語りでも、楽しませてほしい▲30年近い競技人生で何にこだわってきたかを問われ、即座に「着地です」と答えた。3月には東京で、プロ野球選手ばりに引退試合が用意されていると聞く。有終の美を飾る「着地」よければすべてよし、の演技が待ち遠しい。

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