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オミクロン株対策強化 3回目接種、態勢整えよ

2022/1/15 6:48

 新型コロナウイルスの新たな変異株、オミクロン株が全国に広がっている。感染のスピードが桁違いに速く、従来のデルタ株からの置き換わりが急速に進んでいる。

 感染拡大が先行し「まん延防止等重点措置」が適用された広島、山口両県ではきのう、新規感染者が過去最多を更新した。全国では昨年8月末以来、2万人を上回った。

 対策を強化するため、政府は3回目のワクチン接種の1カ月前倒しや、濃厚接触者の待機期間の短縮を打ち出した。

 オミクロン株の重症化率は低いとみられるが、感染者が増えるにつれ、重症者増加も覚悟しておく必要がある。昨年夏の「第5波」を教訓にして医療崩壊を避けるため、政府はあらゆる手だてを尽くすべきである。

 3回目のワクチン接種は昨年12月、まず医療従事者を対象に始まった。110万人以上が3回目を終えたものの、当初計画に比べると、遅れは否めない。

 計画を1カ月前倒しするためには、さらに接種を加速しなければならない。市町村をはじめ現場の混乱を招きかねない。会場や医療スタッフの確保など準備作業に追われているからだ。

 政府は、そうした現場の声を聴いて、態勢を整えることが急がれる。ワクチン確保の見込みや、配布のスケジュールと分量について、確実な情報を提供する必要がある。市町村の不安解消には、財政面などでの支援も欠かせまい。

 濃厚接触者の待機期間短縮については、従来の14日から原則10日まで短くする。状況次第では、さらに縮める考えだ。医療逼迫(ひっぱく)の予防や、解消につなげていきたい。

 というのも、重点措置が適用されている沖縄県では、医療関係者の間でも感染者や濃厚接触者が増加、診察などに支障が出ている医療機関があるという。待機期間の短縮で、現場復帰までの日数が短くなる意味は大きいはずだ。介護や物流といった社会機能を支える事業の継続にも役立つに違いない。

 全国初という広島県の取り組みにも注目したい。3千人を超すまで急増した自宅療養・待機者向けにきのう開設した「オンライン診療センター」である。

 病床には限りがあるため、無症状や軽症の人には、自宅での対応を求めざるを得ない。とはいえ、第5波では、自宅療養中に体調が急変して亡くなるケースが全国で相次いだ。そうした悲劇を繰り返してはならない。

 広島県の仕組みでは、自宅療養・待機中に体調が悪化すれば、センターに常駐している医師が画面越しに診療、薬を届けるという。他の自治体が手本にできるような成果を上げることが期待される。

 気になるのは、広島県などに比べ、大都市圏の知事の危機感が乏しいように映ることだ。

 広島市の推定によると、感染経路は、家庭内に次いで、会食が多く、33・4%に上った。第5波の4倍近い数字である。これまでのデルタ株の時とは異なる対応が、さらに必要となっているのかもしれない。

 政府は昨年秋、第6波に備えた対応策をまとめた。オミクロン株の出現で前提が変わった面もあろう。他国で得られた知見も参考にしながら、柔軟に対応することが一層求められる。 

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