文化・芸能
いす座禅で心リセット 40分間、呼吸に意識集中
仏教の修行の一つである座禅(ざぜん)。近ごろは足を組むのが難しい高齢者や子どもも自宅でできる「いす座禅」が注目されている。とりわけコロナ禍でイライラ、モヤモヤしがちな日々。心をリセットする方法として暮らしに取り入れてみてはどうだろう。
座禅の基本姿勢は、あぐらをかいて交差させた足を太ももに乗せる。この状態で1本の線香が燃え尽きるとされる約40分間、無心の状態を保つ。呼吸に意識を集中させ、雑念を払って心を静めていく。そうすることで仏のありように近づいていくという修行だ。
ただ、もっと気軽に「心の健康法として取り組んでほしい」と曹洞宗が薦めるのがいす座禅。昨年7月、手引きをまとめたパンフレットを作製した。
まず、いすに浅く座る。足は肩幅に開いて床に着ける。背骨を下から順に一つ一つ積み上げていき、最後にそっと頭を乗せるイメージという。
目はうっすら開いた半眼の状態で1・5メートル先の床に視線を落とす。手を組み、ゆったりと2、3回深呼吸して上半身の力みを取り除く。腰を中心に体を左右に揺らし、徐々に動きを小さくしながら中心に収めていく。
広島市中区の曹洞宗伝福寺の鈴木章純住職(73)は座禅の基本スタイルとして、姿勢を正す「調身(ちょうしん)」、息づかいに集中する「調息(ちょうそく)」、心を穏やかにしていく「調心(ちょうしん)」の三つを説く。「姿勢を保ち呼吸を感じながら、心に浮かぶ思いをそっと流していく。身も心も解き放ち、ありのままの自分を見つめる契機になる」
コロナ禍で不安ばかりが募る今、「座禅は揺るがない自分をつくるすべになる」と鈴木住職。「自分の心を整えることができるのは自分しかいない。静かな場所で明かりを落として、心と体が調和していく感覚を味わってほしい」と話している。(久行大輝)
▽手順や作法紹介 曹洞宗がパンフ
曹洞宗が作製したパンフレットは「いす坐禅(ざぜん)のきほん〜『カラダ』と『ココロ』の調和を味わう」。いす座禅の手順や作法などをイラストを使って紹介している。入手したい人は最寄りの曹洞宗の寺院に問い合わせを。また曹洞宗のホームページで、いす座禅の取り組み方を紹介するアニメーション動画を見ることができる。アドレスはhttps://www.sotozen-net.or.jp/zazen-top/animation
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