文化・芸能

連ドラ「半沢直樹」何が心を捉えたか

2020/10/5 21:28

 最終回(9月27日放送)の視聴率は34・7%(関西地区)と、堂々の「令和ドラマ1位」となった。RCCなどTBS系の連続ドラマ「半沢直樹」。何が人々の心を捉えたのだろう。毎回欠かさず見ていたという視聴者に聞くと、三つのポイントが浮かび上がった。

 ▽「令和版時代劇」 勧善懲悪で憂鬱な気分晴れる

 ドラマは、半沢(堺雅人)が巨大銀行の不正融資に関わる幹部や大物政治家の悪事を暴き、じりじりと追い詰めていくストーリー。腹黒い権力者に正義感あふれる一行員が立ち向かい、痛快に「倍返し」する。分かりやすい勧善懲悪の物語だ。

 広島市西区の会社員白須希未さん(33)は「悪党をやり込める『半沢直樹』は現代版の時代劇。仕事が始まるあしたのことを考えて、ちょっと憂鬱(ゆううつ)になりがちな日曜日の夜の気分を盛り上げてくれた」と振り返る。

 組織内の同調圧力、年功序列に親会社と子会社の格差…。ドラマでは、不正の背景に潜む日本企業の古い体質がリアルに描かれる。元NHKプロデューサーで武蔵大(東京)の永田浩三教授(65)=ドキュメンタリー研究=も「権力に対し理不尽だと思っても、保身を図るのが常。でも半沢は毅然(きぜん)とした姿勢で切り込んでいく。私たちのこうあってほしいという期待に応え、大勢が拍手を送った」と評価する。

 ▽「劇場型」ドラマ アドリブ満載、熱い演技合戦

 感情表現豊かな芝居、スピーディーな展開がめりはりとなって一気に見せる。広島県府中町の主婦東條美鈴さん(42)は「緊迫感あふれる場面が続いた。二転三転する展開に手に汗を握った」と話す。

 演技も「劇場型」だった。広島経済大教授の岡本貞雄さん(68)=東広島市=は「堺雅人のすごみのある目、鬼気迫る表情、張り上げた声。香川照之や片岡愛之助たち、濃くてあくの強い歌舞伎俳優が火花を散らす演技合戦にぐっと引き込まれた」とうなる。見せ場ではアドリブがちりばめられ、遊び心ある即興的な演技もテンポ感を演出した。

 ▽コロナ禍での挑戦 1週延期も苦肉の生放送奏功

 連続ドラマでは珍しい出来事があった。新型コロナウイルスの影響で収録が間に合わず、9月6日放送予定だった第8話を1週延期に。代わりに出演者5人が生放送で撮影の秘話を語ったり視聴者の質問に答えたり。メーキング映像も紹介された。

 呉市の会社員戸沢重喜さん(44)は「作品をぐっと身近に感じた。撮影スケジュールのぎりぎりさが伝わってきた。ドラマの制作もコロナの影響を受ける中、一生懸命作られていたんだと応援したい気持ちが高まった」という。

 コロナ禍でテレビの番組制作も試行錯誤が続く。収録が間に合わないピンチも視聴者とつながるチャンスに変えた作戦といえる。最終回は第9話から6・0ポイントの大幅増となった。制作側の「熱量」は、真っすぐに視聴者に届いたようだ。(久行大輝) 


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