• トップ >
  • 文化・芸能 >
  • 洗心 >
  • 「ちかい」4カ条、コロナ禍の今だからこそ 浄土真宗本願寺派 山口の僧侶・小池秀章さんに聞く

文化・芸能

「ちかい」4カ条、コロナ禍の今だからこそ 浄土真宗本願寺派 山口の僧侶・小池秀章さんに聞く

2021/3/21 20:24
小池秀章さん

小池秀章さん

 ▽しなやかな心で支え合って

 ほぼ毎号、1面の題字下にこの言葉が載っている。浄土真宗本願寺派が発行する本願寺新報(しんぽう)にある「私たちのちかい」。もともとは宗教離れが進む若者に向けての言葉だが、コロナ禍で生きづらさが増す今、強く心に迫ってくる。教證寺(山口市)の僧侶で龍谷大(京都市)非常勤講師の小池秀章さん(54)に「ちかい」の4カ条を読み解いてもらい、意味を見つめ直してみる。(聞き手は山田祐)

 自分の殻に閉じこもることなく
 穏やかな顔と優しい言葉を大切にします
 微笑み語りかける仏さまのように

 コロナの感染が拡大し始めたころ、神奈川県のドラッグストアの店員の発言がネット上で話題になりました。「コロナより怖いのは人間だった」と。品切れでマスクを買えなかった人たちから、店員はきつい言葉を浴びせられたそうです。

 感染への不安を自分ではどうすることもできず、他者にぶつけてしまう。人は窮地に陥ると、自分を守るために周囲を攻撃してしまうことがあります。それは、自分の殻に閉じこもった状態だと言えるでしょう。

 そんな時こそ「和顔愛語」という言葉を思い出してほしいのです。穏やかな笑顔と優しい話し方で人に接することを意味し、仏さまが実践された内容です。仏さまのまねごとしかできないのが私たちなのですが、和顔愛語を大切にする心は忘れないでいたいですね。

 むさぼり、いかり、おろかさに流されず
 しなやかな心と振る舞いを心がけます
 心安らかな仏さまのように

 一時期、マスクや消毒液を買い占める人がいました。周りを顧みず、自分にとって都合が良いものをむさぼり求める―。コロナ禍では、もともとあった人間の欲深い部分がくっきりとあぶり出された気がします。

 むさぼり、いかり、おろかさは三毒といって煩悩の代表選手。生きていくうえでこれらをなくすことは普通の人にはできません。

 変わろうと思っても変われない自分がいる。それをひっくるめて仏さまは包み込んでくださる。その仏さまのお心に出あった時、煩悩に流されるだけではない人生が開けてくるのです。

 自分だけを大事にすることなく
 人と喜びや悲しみを分かち合います
 慈悲に満ちみちた仏さまのように

 「コロナに感染した人に思いやりを持って接しましょう」。先日、こんな言葉をニュースで耳にしました。裏を返せばそれができていないということ。とても残念なことです。

 人が喜んでいたらねたましく、悲しんでいたら関わりたくないと思ってしまう。これも私たちの現実の姿です。一方で仏さまは、すべての人に共感して何とかしようとはたらいてくださっている。そうしたお心が私たちの人生を根底から支えてくれているのです。

 生かされていることに気づき
 日々に精一杯(せいいっぱい)つとめます
 人びとの救いに尽くす仏さまのように

 ステイホーム期間中、孤独を感じ、さみしい思いをしている人も多くおられると思います。そのような中でも、医療や物流、清掃などに携わる人たちが、感染の危険にさらされながら働いてくれているおかげで、私たちの生活が成り立っているのです。

 「自他一如」という言葉は自と他が一つのごとく、つながりあっているということ。すべてのものは切り離せないということです。私たちはみんなお互いにつながり合い、支え合って生きているのです。

 すべての人を幸せにしていくと仏さまはおっしゃいます。そのはたらきの中で私たちは生かされてる。私たちもすべての人のために何かできればいいのですが、それができなくても、他の人のことを思う心を忘れず、日々の生活を送りたいものです。

 こいけ・ひであき 山口市出身。山口高から龍谷大、同大大学院を経て宗門校の京都女子中高校の教員を22年間務めた。現在は同大などの非常勤講師。西本願寺のホームページに掲載するための解説文を執筆した。 


この記事の写真

上記の写真をクリックすると拡大して表示されます。

  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

洗心の最新記事
一覧