文化・芸能

アフリカの印象 レーモン・ルーセル著、岡谷公二訳、平凡社ライブラリー

2021/3/24 19:47
アフリカの印象

アフリカの印象

制約から生まれる想像力

 広場で盛大な祝典が行われようとしている。広場には建物や彫像などが配置してある。「彫像の足は、別の黒い鯨のひげを巧みに組み合わせて作った低い台と、四つの車輪から成るごく単純な乗物の上にのっていた。仔牛(こうし)の肺臓にほかならぬ、生の、赤みを帯びた、ゼラチン状の物質でできている二本の細いレールが、黒ずんだ板の表面を走っていた。それは、色を別にすれば、本物の鉄のレールそっくりだった」。つまり仔牛の肺臓製レールの上に鯨のひげ製の乗り物と彫像がのっている、そしてこの後、これらの機構を一羽のかささぎが操作する様が細密に描写される…本書では、このような、思い浮かべようと思っても困難なくらい独創的なもの・人・動作の説明が延々と続く。奇妙な処刑、雲母の容器に入った大ミミズ、超絶技巧の歌い手や機械や曲芸、未知の動植物…読んでいる頭の中は謎だらけなのに、それらがまるで明瞭なことであるかのように書き連ねられる言葉にくらくらしてくる。たまらないが、一体全体なんなんだこれは。
(ここまで 443文字/記事全文 788文字)

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