山里の家庭医診療日記

　この連載も最終回となった。広島県三次市作木町という山里で家庭医として診療する中で、印象に残ったエピソードを取り上げ、感じること考え...

　3月末のある日、高血圧で定期的に通院されているIさんがいつものように受診した。体調を確認した後「市役所から予防接種の案内が来てませ...

　Tさんの娘さんが診療所に相談に来たのは2年前の春めく陽気の午後だった。　80代男性のTさんは、20年ほど前に遭った転落事故の後遺症...

　3月は旅立ちの季節。この地域のほとんどの子どもは高校を卒業したら、進学や就職のために親元を離れていく。中学校を卒業後、遠方の高校へ...

　金曜日の夕方、１週間の最後の訪問診療はＫさん宅がお決まり。夫と２人暮らしの７０代のＫさんは、２年前に事故で下半身がまひし、ベッド上...

　最近、妻が施設に入所して１人暮らしとなった８０代の男性Ｆさんがふと漏らした。「最近人と話すことが減ってなあ、家で倒れてても誰にも気...

　「最近、日中眠たくて仕方ないんです。よくふらつくようになったし」。高血圧などいくつかの健康問題で通院されている７０代の男性Ｅさんか...

　７０代の男性Ｄさんは妻と２人暮らし。よくもの忘れをし、同じ話を繰り返すことを心配したお子さんたちが４年前、専門の病院に連れて行き、...

　めったに診療所に来ない７０代半ばの男性Ｃさんが「喉が詰まってご飯がのみ込みにくいんです」と相談に来た。実はＣさん、３年前に病院で胃...

　「コロナが怖いので、こたつの守りばかりしています」と、診療所に定期的に通ってこられる８０代の女性Ａさんが口を開いた。毎週、通ってい...

　「いつもの薬がなくなったのでもらいにきました」　受診理由で一番多いのはこれだ。さまざまな病気の治療や予防のために薬を飲む必要がある...

　雪の日の往診は、車を雪の中から掘り出すことから始まる。スキーウエアのような防寒着の上下に、長靴といういでたちで出発だ。　三次市作木...

　広島大から昨年末、「医学生に講演をしてもらえませんか？」と声がかかった。相手は、広島県内で地域医療に従事することを約束された「ふる...

　「先生、ちょっと相談があるんですけど」。小学校の養護教諭Ｉ先生から、学校医の僕に電話があった。３年生のＢさんが最近、学校を休むこと...

　中国新聞くらし面で連載中の「山里の家庭医　診療日記」の筆者で、作木診療所（三次市）の佐古篤謙医師（５２）は、患者に専門を尋ねられた...

　その土曜日は、代診の先生に診療をお願いして地域の集会所に出向いた。三次市の保健師さんたちと２年前に始めた出前講座「いきかた講座」の...

　診療所に来る研修医たちの探究心のおかげで、僕の医師頭（石頭）もずいぶん柔らかくなっている。Ｙ先生は、糖尿病や高血圧などの生活習慣病...

　診療所には、医師になりたての研修医が２～４週間ほど「地域医療」の研修にやってくる。Ｍ先生もその一人。Ｍ先生は診療所に来て間もない頃...

　午前の診療もそろそろ終わりという時間、８０代男性のＫさんのカルテが運ばれてきた。「草刈り中に転倒して頭をけがされたそうです」と看護...

　岡山県の自宅から三次市作木に戻ってくる月曜日の早朝。ちょうど車が三次市内に入ったあたりで、訪問看護ステーションのＳさんからの電話が...