エッヘン!産地ごはん

「へそ丼」が進化中 広島県央の米どころ、東広島市豊栄町で誕生10年

2021/5/26
グラフィック・末永朋子

グラフィック・末永朋子

 ▽卵つややか サラダ風・おかず付きも

 「へそ丼」が進化している。広島県のへそ(県央)に位置する東広島市豊栄町が発祥のご当地グルメのこと。ふっくらご飯のど真ん中に卵黄がのり、がっつり系からおしゃれなサラダ風までメニューの幅も広がる。誕生から10年。産地や食べられる店を訪ねた。

 豊栄町一帯の賀茂台地は、県内有数の米どころ。山からの清流と朝晩の寒暖差によって良質な米が育つ。その米をおいしくいただくレシピの一つが、へそ丼だ。真ん中に濃くつややかな卵黄をのせるとまさにへそ。周りにシイタケ入りのラー油と青ネギを添えると出来上がる。

 豊栄町の定食店「杢兵衛(もくべえ)」は、牛肉のしぐれ煮や納豆を加えてレシピにしている。がっつりした「牛肉へそ丼セット」は1番人気。卵黄をかき混ぜて頬張ると、牛肉のうま味とラー油の辛み、卵黄の甘みがマッチしてぺろっといける。店主の藤田悦子さん(72)は「一度食べると、これしか注文しない人も多い」とほほ笑む。

 へそ丼は2011年、県央商工会豊栄支部の若手たちが地域おこしのために考案。自慢の米を生かし、東広島市との合併前からうたう「へその町」にちなむグルメにしようとした。メンバーの高光哲哉さん(49)が営む養鶏場の卵を使用。当時ブームだった食べるラー油は、地元の原木シイタケを加工して作った。

 高光さんの卵は、鶏がストレスをためないようにケージで1羽ずつ飼う。卵のこくが増すよう、餌に海藻などを混ぜている。「赤みがかって臭みのない卵になる」と胸を張る。自販機で売るユニークな手法も受け、豊栄町の名物に。現在へそ丼を出す市内の5店はすべて、この卵を使う。

 基本型を進化させ、見栄え重視にした店もある。県央商工会エリアの福富町にあるドッグランカフェ「オンジーハウス」は、卵をポーチドエッグに。地元のレタスやキュウリとともにマグロやエビをあえて入れ、海鮮サラダ風に仕上げる。緊急事態宣言で休業中だが、再開が待ち遠しい。

 さらにファン層を広げようと、商工会も10周年を機に新メニューを考えた。豊栄の産品を少しずつ味わえる「おばんざいおへそ」だ。へそ丼は小ぶりだが、ご飯は古代米。リンゴチップスとショウガのつくだ煮などが膳を彩り、肉や魚の主菜も付く。レストラン「豊栄くらす」で4月末から提供し、健康志向の女性客を中心に評判は上々だ。

 県央エリアは、古民家を改修した個性的な店が増え、広島市などからのドライブ客も多い。好機とみて商工会はことし、「広島へそ丼」の名を商標登録した。「エリアの食材をもっと使い、広島のB級グルメに育てたい」と高光さん。県央のお土産に卵や米を買って、自宅で作ってもおいしそうだ。(田中謙太郎)


この記事の写真

  • オンジーハウスの「オンジーへそ丼」
  • 豊栄くらすの「おばんざいおへそ」
  • つややかな卵黄が自慢の卵を作る高光さん(東広島市)

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