エッヘン!産地ごはん

実が熟すと澄んだ青紫色に 広島県大崎上島町

2021/7/6
一粒ごとに色合いが違う。熟し具合を確かめ、慎重に収穫する

一粒ごとに色合いが違う。熟し具合を確かめ、慎重に収穫する

 青い実が赤くなったら食べ頃―。トマトやイチゴなどはそうだが、ブルーベリーはまるで逆だ。赤い実が、澄んだ青紫色になると熟しているそう。木の枝には、青紫の実に隣り合ってほんのり赤いものもある。小さな実が熟すタイミングは、一粒ずつバラバラなのだそうだ。

 芸予諸島の離島、大崎上島町。農事組合法人「神峯園(しんぽうえん)」の代表横本悠樹さん(39)は、ポットに植わる木の枝と向き合い、微妙な色合いを見極めながら、青紫の実だけをもいでゆく。「単純そうで神経を使いますよ」。ブルーベリー農家70軒でつくる神峯園では、6月から露地の収穫が本格化している。

 生ブルーベリーはみずみずしい。頬張ると果肉が「プチッ」とはじける。酸味と甘みのバランスが絶妙。日当たりのいい島で育った実は天然色素のアントシアニンが豊富で、味が濃い。「乳製品との相性が抜群よ」と教えてもらった。クリームチーズと混ぜ合わせたディップは、野菜にも生ハムにも合う。

 実は、どこでも育つものらしい。高原でも、品種によっては街中のビルの屋上でも。「ただ農業で成り立たせるのはすごく面倒くさいんですよ」と横本さん。熟し具合がバラバラで、雨が降ると傷んでしまう。日持ちしないのですぐ保冷が必要だ。夏場の水やり、枝の剪定(せんてい)も欠かせない。

 「手のかかる子」で割に合わない。だから観光農園にとどまる産地が多い。そんな中で神峯園は、ハウス栽培を合わせて年約15トンを収穫する。多くが加工用だが、生果での出荷も約1トン。長野、群馬県など年100トン以上出荷する大産地には遠く及ばないものの、全体で出荷量が年20トンほどの県内での味の評判は随一だ。

 甘酸っぱさがたまらないというファンの声を聞くと、「手をかけてよかったと実感します」と横本さん。45年前に島に木を持ち込み、特産物に育てた父の思いを受け継ごうと汗をかく。8月にかけての品種は甘みがより強くなる。まだまだ面倒な日々が続く。(田中謙太郎)



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  • 食べ頃の青紫色のブルーベリー。真ん丸と大きい

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