学力アップなび
【第3回】講評 締めは「ちいげさ」も 特別編集委員 江種則貴
2020/10/6 17:03
落語の締めくくりを「落ち」と言いますよね。客をさんざん笑わせた上で、最後の大爆笑といくか、逆に、しんみりさせるか。出だしの「つかみ」とともに最も重要な部分で、そもそも落ちない話は落語とは呼べないのです。
結論が大切な点で、小論文は落語以上かもしれません。そこを踏まえ、杉野さんの解答例を一緒に読んでみましょう。
冒頭の記事要約に続き、第2段落で「静粛した空間に寂しさを感じ…」などと卓球大会に出場した体験をつづっています。まさに「つかみ」ですね。
続いて「今こそスポーツの『価値』について考えるきっかけなのだ」「オンラインでの大会開催を提案する」。主張が具体的で説得力があります。
そうして最終段落の「スポーツは、経済や人の心を動かす力がある」へとつないでいく。よどみない論理展開が素晴らしい。
ただ気になるのは、最後の最後です。確かに「スポーツが世界の現状を変え」るとしても、それでコロナ禍が「収束する日が来るかもしれない」とは、少し大げさではないでしょうか。
少なくとも「かもしれない」という言葉を選んだ時点で、さては自分の主張に自信がないのかと、読む人から見透かされてしまいかねません。
少し前の若者言葉に、大げさの反対語である「ちいげさ」がありました。あえて「ちいげさ」で落とす。そんな高度な締めくくりにも挑戦してみてください。
えぐさ・のりたか 原爆・平和問題などを取材。論説主幹、編集局長を経て、コラムを執筆中。
次の記事を読み、内容を200字程度にまとめた上で、命の重みについて意見を計800字以内で述べなさい。
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