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【第5回】ポイント 「他者」をいかに理解するか 駿台予備学校 池尻俊也講師

2020/12/1 16:56
池尻俊也講師

池尻俊也講師

 まず要求を確認します。

 (1)記事を要約する

 (2)核兵器廃絶の実現に向けて、社会に対してどのように行動するかを述べる

 (3)その理由も述べる

 先月お話しした「定義付け」をします。「社会」とは何でしょうか? さまざまな定義がありますが、ここでは「自分と考えを異にする他者の集まり」とします。

 そもそも、核兵器が非人道的な大量殺りく兵器であるのは自明です。それが廃絶されないのは「必要と考える人」が多数存在するからです。「核兵器は抑止力だ(核の傘)」「何十年もそうしてきた(現状維持)」などと考える人です。

 今回のテーマである核兵器廃絶の実現に向けては、こういった考えを持つ「他者(自分と考えを異にする他者)」の集団である「社会」を念頭に置く必要がありました。「他者」の考えを理解し、それに対して説得的な意見を述べることが必要です。そして、これこそ小論文の基本なのです。

 評価されない答案の典型は、根拠を示さず一般論の意見や感想を書いただけの答案です。確かに、核兵器は廃絶すべきです(私個人の意見もそうです)。しかし、主観的な思いこみだけを書いても、「他者」には伝わりません。「他者」の考えを理解した上で、それに対する意見を、客観的かつ論理的に述べないと伝わりません。

 そして、客観的かつ論理的な意見に不可欠なのが理由・根拠です。先ほど示した「他者」の考えについて、それを乗り越える理由・根拠を示す必要があります。ここでも「他者」の理解が重要となります。

 長年小論文を指導していますが、合格した生徒は、間違いなく出題者や読み手といった他者を念頭に置いて考えていました。自分と異なる考えを排除せずに理解する、その上で批判や説得を試みる、これが合格答案の書き方です。まず「他者」を理解する、これが合格への第一歩です。

 いけじり・としや 広島大医学部「ふるさと枠」の合格者を多数指導。高校教員に指導法を講習。

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