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体育の授業・暑い日、「マスク外す」が原則 声掛け徹底、熱中症防ごう

2021/6/20 20:08
50メートル走に取り組む天満小の児童。教員は授業の始めにマスクを外すように声を掛けていた

50メートル走に取り組む天満小の児童。教員は授業の始めにマスクを外すように声を掛けていた

 新型コロナウイルス禍でマスク生活が続く中、学校現場で熱中症への警戒が高まっている。大阪府高槻市では2月、マスクを着けて体育の授業に臨んだとみられる男児が亡くなる事故が発生。死因との関係は不明だが、気温が上がる時季に向けて関係者は神経をとがらせる。熱中症と感染症―。二つのリスクから子どもを守るため、臨機応変で細やかな声掛けが求められている。

 ▽会話は控え、距離保つ

 「走る時はマスクを外しましょう。その時はおしゃべりしないで、距離も取ろう」。今月半ば、広島市西区の天満小の校庭。体育の授業の冒頭、2年生約40人に今中京子教諭(43)が呼び掛けた。

 2年生はこの日、50メートル走に取り組んだ。午前11時の気温は29・1度。日差しと照り返しで立っているだけで顔が火照る。児童は準備体操まで着けていたマスクをポケットに入れて全力疾走し、息が整ったら再び着用。木陰から同級生に声援を送っていた。

 ▽国が危険性指摘

 田中英祥校長は「コロナ対策も大切だが、ただちに命に関わる熱中症の対応を優先している」と語る。5月上旬に、暑くて息苦しい時は適宜マスクを外していいと児童に伝えた。体育の授業や休憩中に校庭で遊ぶ場合には、積極的に外すよう指導している。

 「体育の授業でマスクは必要ない」「(登下校時を含め)気温、湿度や暑さ指数が高い日にはマスクを外す」。昨春以降、国が事務連絡や学校向けのコロナ対策マニュアルで示してきた考え方だ。併せて、マスクを外す際には会話を控える、人との距離を保つなどの感染対策を求めてきた。

 そんな中で起きた高槻市の事故は、教育関係者の懸念を強めた。萩生田光一文部科学相は発覚直後、「体育の授業ではマスク着用は必要ないとあらためて周知する」と強調。今月11日の会見でも熱中症の危険に触れ、「現場で徹底を」と訴えた。

 広島県内の各教委も学校に対策を促す。広島市教委は5月中旬、国の指針をあらためて伝えた。呉市教委は5月下旬、「シャトルランや持久走などで呼気が激しくなる時はマスクを外す指導を」と連絡している。

 ▽感染への不安も

 ただ指導には難しさも伴う。本人の感染への不安や家庭の方針でマスクを外したがらない児童生徒は多いという。

 実際、子どもを広島市内の小学校と幼稚園に通わせる公務員男性(43)=安佐南区=は「子どもはみんながしているのに自分だけ外しにくいと言う」と漏らす。「先生から外してもいいと言われても、実際に外すのはクラスで4、5人にとどまるそう。子どもに任せるような言い方ではなく、積極的に外すように指導してほしい」と求める。

 運動時だけではなく、暑い夏には登下校時も熱中症のリスクがある。一部の学校では、登下校中にマスクを外してもソーシャルディスタンスを保つのに役立つとして、子どもに日傘の使用も促しているという。

 「小まめな声掛けしかない。『大丈夫?』『苦しければ外していいんだよ』と伝えれば子どもは安心するはず」。三原市の50代教員男性はそう強調する。

 【識者に聞く】「暑さ指数」目配りを 水分補給忘れずに

 広島大大学院の濱田泰伸教授(保健学)によると、マスクを着けると呼吸の回数が増えたり心拍数が上がったりし、体力が消耗しやすくなる。また体の熱を呼吸で放散することを妨げたり、喉の渇きを感じにくくなったりもする。

 「涼しい環境下ならさほど影響はないが、暑さ指数の高い時には熱中症の危険を高める恐れがある」と濱田教授。特に激しい運動時にはそれだけで体の「深部体温」が上がっているため要注意だという。暑さ指数とは気温や湿度、周辺の熱環境を取り入れた指標で、環境省の「熱中症予防情報サイト」で全国の値を公開している。

 濱田教授は子ども特有のリスクも指摘する。「体調管理や水分補給は大人のようにはできない分、注意が必要だ」。周囲の大人の適切な見守りが大事になりそうだ。(新本恭子) 

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  • 濱田泰伸教授

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