まなび

みんなの新聞コンクール

新聞感想文<中学生>「もっとあしたは できるようにするから」 東広島市・西条中3年 植野 早絵さん(15)

2019/11/14
中国新聞9月5日付(使用記事2点)

中国新聞9月5日付(使用記事2点)

胸に刺さる5歳の言葉


 「もうおねがい ゆるしてください」

 そう書かれた結愛ちゃんからのメッセージが衝撃的で、私の胸に突き刺さった。

 東京都目黒区で昨年3月に、当時5歳だった船戸結愛ちゃんが両親から虐待を受けて死亡した事件。結愛ちゃんの名前には、「人との結びつきを大切にし、たくさんの愛情をもらいながら成長してほしい」というすてきな願いが込められていたのではないか、と私は思う。人生のスタートラインに立ち、希望に満ちあふれた気持ちがあっただろうに。なぜ、結愛ちゃんの命は失われてしまったのだろうか。そう考えると切なくなる。

 私の胸に突き刺さったのは、結愛ちゃんがノートに書き残した言葉の数々だ。目立つのはたくさんの前向きな言葉。結愛ちゃんにとって一番愛情を注いでもらいたい両親から虐待を受け、体の傷よりも心の傷の方が大きかったのではないだろうか。そう考えると、結愛ちゃんが残した言葉が前向きであることの方が逆に苦しい。

 私は、結愛ちゃんがノートに言葉を書き残していたことを新聞で知った。本当に言葉を失った。そんなとき、母が私に1枚の紙をみせてくれた。それは、私が6歳の時に大好きな姉のまねをして、『これからのわたしのやくそく』を書いたものだった。中には、「くじまでにねるんだ」「ままにだされないほどはやくはんかちをだす」「おちゃをこぼしたらじぶんでふく」などの言葉が書いてあった。私はこれを見て、結愛ちゃんとの重なりを感じ、6歳でこれを書いたときの記憶を思い出した。例えば、母が私のことを思ってかけてくれた言葉に従うことができなかったり、自分がお茶をこぼしてしまったのに素直に謝って掃除をすることができなかったりして悔しかったことだ。まさに結愛ちゃんが残した「もっとあしたはできるようにするから」という気持ちも含まれていたと思う。私がこの文章を書いた後、父と母は「すごい。よく書けたね」と、ぎゅっと抱きしめ、とても感動してくれた。では、結愛ちゃんはどうだっただろう。

 私は虐待を受けたことがない。しかし、それは生きていく中で一生分からなくてもいい痛みや苦しみだと思う。私にとって一番ありがたいのは、自分の存在価値を認め、思いを共感してくれる人がいることだ。

 私の人生にはまだ長い道のりがある。5歳という幼さで亡くなってしまった結愛ちゃんに対して、私にできることは一体何なのだろう。その答えはただ一つ。人との結びつきを大切にし、たくさんの愛情を注いでもらえることに感謝しながら、生きていくことだ。

 これからも、明日に向かって前向きに取り組み、周りの人に愛情を注ぐことができる大人になれるよう成長していきたい。

■気持ち想像して作文


 「もっとあしたはできるようにするから」と書かれた船戸結愛(ゆあ)ちゃんの手紙を読んで、幼い頃の自分と重ね合わせたのが作文を書いたきっかけです。

 私も「親に認められたい」と思っていました。結愛ちゃんがどんな思いで手紙をしたためたのか…。気持ちを想像しながら書きました。小さい子でも読めるように平仮名を多くしています。

 虐待の痛ましさや、二度と起きてはならない事件だということを伝えたいと思います。

  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

第19回みんなの新聞コンクールの最新記事
一覧