くらし

尾道のイラストレーター福田翔太郎さん、無料少年サッカー雑誌を発行

2019/5/18 19:50
少年サッカー雑誌「ピテカントロプス」から

少年サッカー雑誌「ピテカントロプス」から

 にぎやかなイラストに遊び心あふれる内容で、異彩を放つ少年サッカー雑誌がある。発行するのは、昨秋に東京から尾道市にIターンしたイラストレーター福田翔太郎さん(37)。子どもの頃から好きだった雑誌とサッカーを結び付けて1人で作っている。「雑誌を通して、いろんな生き方があるんだよって伝えたい」。新たな土地でもサッカー少年たちとの出会いを楽しみにしている。

 東京で生まれ育った福田さんは2011年、無料の少年サッカー雑誌「ピテカントロプス」を創刊した。企画から取材執筆、編集まで1人で手掛ける。ペンや絵の具、クレヨンなどで描くイラストは、原色を多用し鮮やかだ。

 記事では、近所の中学生にモヒカン刈りのプロ選手の人気投票をしたり、試合当日にお薦めの弁当を栄養士に教えてもらったり。60年以上の取材歴を持つサッカージャーナリスト賀川浩さん(94)にインタビューし、タンザニアを訪れて取材した海外のサッカー事情も伝える。プロアマ、年齢や国籍問わず、サッカーを愛する人たちが登場する。

 B5判カラーの40ページ前後で5号まであり、毎回3千部を発行。住んでいた東京都杉並区の少年サッカーチームを中心に、飲食店や書店に無料で配ってきた。

 子どもの頃からファッション誌を読みあさっていた福田さんは「自分が夢中になったような雑誌を作りたかった」という。創刊のために、勤めていたアートイベントやギャラリーの運営会社を退職。風呂なしアパートに住み、イラストの仕事をしながら雑誌作りに打ち込んできた。

 サッカーを題材にしたのも自然なことだった。小中学校時代はサッカー少年で、海外に飛び出した三浦知良選手らに憧れた。スポーツのためではなかったが、自身も15歳の時にオーストラリアに留学。今も社会人チームに入ってサッカーを続ける。

 プロ選手になれなくてもサッカーは楽しめる。もっと自由に、想像力を広げて生きられたら―。そんなメッセージを子どもたちに伝えたかった。雑誌の表紙には毎号、「子どもたちのオリジナリティーを引き出す」というコンセプトを書いている。「子どもは発想が豊か。一つにとどまらずにいろんなことにチャレンジしてほしい」と願う。

 昨秋に移り住んだ尾道市は、かつての職場の上司が住んでいる町でもある。東京から上司の元を訪れるうち、町の風情や食べ物が好きになった。「東京の町が画一的に感じたのもあるし、制作の環境を変えたいとも思っていたところだった」。紹介してもらった坂の上の一軒家を自分で改装した。

 「雑誌作りを軸に、ぶれずにやっていきたい」と語る福田さん。1人で自宅にこもって仕事をすることも多いが、窓から尾道水道を眺めて気分転換する。近所の人も立ち寄って声を掛けてくれる。東京ではなかったことだ。

 尾道に来てからはまだ雑誌を発行できていない。年内に6号目の完成を目指している。ここ1年で訪れたロンドンやジャマイカでのサッカーの話題を載せるという。尾道の少年サッカーの情報も盛り込むつもりだ。「坂道でサッカーとかダッシュをしていたら面白い。情報を集めて東京と尾道をつなげられたら」

 福田さんのホームページhttp://www.doo―doo―doo.net/(鈴木大介)

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  • 「あまり凝らずに単純に楽しんでもらえるものを作りたい」と話す福田さん(尾道市の自宅)
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