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社員の禁煙、企業サポート 中国地方、治療費補助や手当導入

2019/5/28 20:15
「受動喫煙を防ぐため、企業も禁煙の支援を進めてほしい」と話す川根医師(広島市中区)

「受動喫煙を防ぐため、企業も禁煙の支援を進めてほしい」と話す川根医師(広島市中区)

 よくたばこを吸うのは高齢者? いえいえ、国の調査では30、40代の働き盛りの世代の喫煙率が高い。仕事中に気持ちを切り替える一服は、自分の意思だけでは手放しづらい。そんな中、社員の禁煙を支援する企業が目立ってきた。31日の世界禁煙デーを前に、中国地方などの取り組みを探った。

 ▽国の施策 後ろ盾に

 医療関連情報サービスのデータホライゾン(広島市西区)は2年前、残業を含む勤務中を全面禁煙とした。同時に、たばこをやめたい社員を募り、禁煙外来での治療費を全額補助した。勤務中に通院することも認めた。

 総務課の古田大進(ひろのぶ)課長は「たばこの煙は社員全員に健康被害が及ぶ。一方、社員に禁煙を呼び掛けてもやめられない人が多かった」と明かす。残業すると吸いたくなっていたという松延順平さん(29)は「健康を扱う企業なので禁煙したいと思っていた。補助が背中を押してくれて禁煙できた」と語る。同社は近く、2回目の治療費の補助を予定している。

 社員の健康に加え、仕事の生産性も意識しているのは、スーパーのフレスタ(西区)だ。今月、本社の管理職や、店長、副店長たちの勤務中の禁煙を始めた。買い物客に臭いなどで不快な思いをさせず、喫煙のための休憩で仕事の効率が落ちるのを防ぐことも狙う。禁煙外来での治療や、ニコチンガムの購入に一部補助を出す。

 吸わない人のメリットをつくる企業もある。自動車販売・整備の福山オートサービス(福山市)は「禁煙手当」を導入し、吸わない社員に毎月3千円を支給している。手当をきっかけにたばこをやめた人もいる。数年前からは、採用案内でも手当を紹介している。

 国は、がん対策推進基本計画で喫煙率の目標を「2022年度までに12%」と定める。喫煙をやめたい人がやめることで実現できる数字と説明する。さらに、「受動喫煙のない職場」も目指す。来年4月に完全施行となる改正健康増進法では、オフィスや工場が原則屋内禁煙となる。施行に合わせ、社員募集などの際に受動喫煙対策の内容を明らかにする義務も課される。

 こうした法整備などが、企業が変わる動機付けになっているようだ。全国では今年4月、国が目標とする喫煙率12%を率先して目指す23の企業・団体が「禁煙推進企業コンソーシアム」を発足した。事務局は「禁煙が進む企業は、経営層が『会社としてやるぞ』と意気込みを見せている」と分析する。

 「たばこを吸わない」という採用条件を公にする企業も増えている。製薬会社のファイザーや、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険などが相次いで公表。長崎大は今後の教職員採用で同様の方針を示した。中国地方の薬局にも喫煙者は雇わないところがある。

 「禁煙デー」を設けた企業もある。建設関連サービス業のイズテック(出雲市)は2年前、島根県の呼び掛けに応じ「たばこ対策取組宣言」をした。毎週水曜を禁煙デーとし、ほかの日も決められた休憩時間以外を禁煙にした。

 広島県禁煙支援ネットワーク運営委員長の川根博司医師は「企業も社員の喫煙による経営への影響を意識し始める中、国や都道府県の施策が禁煙支援を進める後ろ盾になっている。禁煙した人たちの定期的なフォローもしてほしい」と話している。

 ▽喫煙率 男性30・40代高く、4割に迫る

 たばこを吸う人の減少が続いている。国民健康・栄養調査(2017年)によると、習慣的に喫煙している人の割合は17・7%だった。男性は29・4%で10年前から10・0ポイント減少した。女性は7・2%で3・8ポイントの減だった。

 年代別では、男性は30、40代の喫煙率が高く、4割に迫る。女性は40代が最多で1割を超え、50代は増加傾向にある。働く世代への対策が、国の掲げる喫煙率12%の目標を達成する鍵を握りそうだ。(衣川圭)

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  • データホライゾンの社内に張り出された「就業中の全面禁煙」を呼び掛けるポスター(広島市西区)

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