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#KuToo共感広がる 就活・仕事でのパンプスはマナー?

2019/6/7 20:11
ヒールパンプスの靴擦れに悩む就活中の女子学生。「内定が出るまで、ばんそうこうを貼ってしのぎます」(広島市中区)

ヒールパンプスの靴擦れに悩む就活中の女子学生。「内定が出るまで、ばんそうこうを貼ってしのぎます」(広島市中区)

 会員制交流サイト(SNS)などで「#KuToo(クーツー)」が話題になっている。セクハラを告発する運動「#MeToo」に、「靴」と「苦痛」をかけている。女性が就活や仕事の場でヒールパンプスを履くのをマナーとする慣例に反発する動きだ。足の痛みを嘆く投稿が相次ぎ、広島でも共感の声が広がる。

 「靴擦れが痛いんですよね。血も出るし」。広島市安佐南区の女子学生(21)は就活中。スーツに合うと薦められた5センチヒールのパンプスを履く。企業の説明会に参加し始めた昨夏から靴擦れに悩み、かかとにはばんそうこうを貼る。「長時間は歩けない。もっと楽な格好で就活したいのに」と打ち明ける。

 パンプスは足を覆う部分が少なく、走るのも一苦労だ。採用面接にはバスや電車で向かう。「急ぎたいのに小走りでもすぐ脱げる。ぎりぎり乗車できなかった時には、『こんな靴もう嫌!』と思いました」

 パンプスデビュー組の抵抗感は強いが、やめる勇気はない。企業の視線が気になるからだ。大学の就活指導では「スタイルがよく見えて相手に失礼がない靴」として推奨される。スニーカーやローファーで説明会に行った友人は注意されていた。「みんな本当は履きたくないけど、面接で落ちるのも嫌なので」。学生から声を上げるのは難しい。

 会社員の悩みも切実だ。廿日市市の女性(35)は外回りが中心の営業職。毎日1万歩以上歩く。30歳を過ぎてヒール靴がしんどくなった。「足腰が痛くて。階段でぐらつくし、マンホールの溝に挟まる。結構なストレスです」

 入社の頃から先輩たちの足元は5センチ以上のヒール。フラットな靴はカジュアル感が強いと教えられた。メークやスーツ同様「社会人のマナー」という認識で、何となく受け入れてきた。でも東日本大震災の直後、夜通し歩いて帰宅する人たちの映像を見て「この靴では絶対無理。生き残れない」と思った。

 靴の中でストッキングが滑り、爪先に全体重がかかる姿勢は健康も損ないそう。最近は、移動中は楽な靴を履き、営業先に着く前にパンプスに履き替えるようにした。荷物になるし面倒だが、身だしなみ重視の企業は多い。「でも『ヒールパンプス=きちんとしている』という固定観念って何なんですかね。靴ハラスメントですよ」。無意識に「女らしさ」や美しさを求めてくる世間の空気に疑問を感じる。

 ホテルに勤める30代女性の職場にはパンプス着用義務がある。接客部門は3〜5センチのヒールで、ストラップ付きは不可と決められている。脱げやすい上、長時間の立ち仕事で脚はむくみっ放しだ。

 外反母趾(ぼし)の後輩は無理して履き続けた結果、痛みがひどくなった。我慢できずフラット靴にしたいと希望すると、接客部門から配置替えになった。「職業柄、仕方ない部分はあるけど、もう少し柔軟に考えてほしい」と訴える。

 パンプス着用を見直す企業もある。日本航空グループの格安航空会社「ZIPAIR(ジップエア)」(東京)もその一つ。パイロットと客室乗務員の制服にスニーカーを採用した。これまでは「男性は革靴、女性はパンプス」が基本だったが、動きやすさと疲労の軽減を重視した。

 空港や機内は立ち仕事が多く、走らなければならない場面もある。広報担当者は「スニーカーはファッションの一部にもなっていて、作業効率も上がる。乗客にも受け入れられると考えた」と説明する。

 見えないルールに縛られていた人たちが、足の自由を求めて声を上げた「#KuToo」―。女性が働きやすい社会を目指す動きとして広がっていくだろうか。(ラン暁雨)

 皆さんはヒールのパンプスを履いてつらかった経験はありますか。また「仕事や就活の場でのパンプス着用はマナー」という慣例をどう思いますか。さまざまな立場からのご意見をお待ちしています。

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  • ジップエアが4月に発表した制服。地上職員は白、パイロットと客室乗務員は黒のスニーカーを履く

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