くらし

「暑熱順化」で熱中症対策 適度な運動≫発汗促進≫暑さに強い体

2019/7/27 6:58
ラジオ体操に汗を流す兼重さん(手前)たち

ラジオ体操に汗を流す兼重さん(手前)たち

 梅雨が明け、もう夏本番だ。暑くなると心配されるのが熱中症。その対策の一つとして「暑熱順化」を心掛けたい。暑さに慣れた体が、汗の量を増やすなどして体温上昇を防ごうとする反応だ。適度な運動を習慣にすれば、この働きが促せる。朝夕の涼しい時間帯に無理なく体を動かそう。

 早朝、広島市中区舟入町の公園に高齢者や子どもたち100人以上が集まった。蒸し暑い中、ラジオ体操のリズムに合わせ、手足を曲げたり伸ばしたりして大きく全身を動かす。

 これを約40年続けているのが「舟入第一公園ラジオ体操会」代表の兼重璋夫さん(72)。体操前には公園を掃除する。「体操効果でしょうか、みんな元気で熱中症知らずです」と話す。

 体操の行き帰りにウオーキングをする参加者も多い。西区の岡原康子さん(72)は自宅でストレッチと筋トレをし、自作のポールを両手に持って30分ほど歩いて参加する。水分補給は起床時に水をコップ1杯、出掛ける直前にさゆを1杯飲むのが習慣。「運動すると帰ってからの朝ご飯がおいしい」とほほ笑む。

 西区の金川光子さん(71)は、朝5時に家を出て、観音様にお参りして50分ほど歩く。以前は体が弱く、暑くなると夏バテ気味だったが、運動習慣を付けてからは元気そのものという。歩く時は、ペットボトルに茶や水を入れ、携帯用の扇風機を持参する。「ここへ毎朝来て昨夜のカープの話をするのが楽しい。今日も汗をかきました」。高齢の参加者にとって、仲間と集う場が運動を続ける原動力になっているようだ。

 中国放送の番組などで活躍する気象予報士の岸真弓さんは今夏の気温について「昨夏の酷暑ほどではないですが、日によっては35度を超えそう。9月にかけて残暑も厳しくなる見通しです」と予測。「十分な熱中症対策を心掛けてください」と呼び掛けている。(桜井邦彦)

 ■県立広島大健康科学科・〓准教授に聞く

 ▽過ごしやすい時間帯から徐々に

 県立広島大健康科学科の〓文准教授(35)=スポーツ環境生理学=は、熱中症の対策として「暑熱順化」の効果を説く。

 通常は暑くなると、汗を出したり、皮膚の血流を増やしたりして体温の上昇を抑える。しかし、暑さに体が付いていかず体温調整ができなくなると、頭痛やめまい、意識障害を起こす。これが熱中症だ。

 かつては生活の中で暑さに順応できていた。しかし最近は「酷暑」で外出を控え、冷房の効いた室内での生活を勧められる。運動する機会も少なくなりがちだ。すると、本来備わっている体温調整の機能が鈍ってしまう。

 〓准教授は「意識的に運動することが大切です」と強調する。体を動かして体温を上げ、体温調整の機能が働くよう体に練習させる―。この「暑熱順化」が、暑さに負けない体づくりにつながるというわけだ。

 では、どんな運動をすればいいのだろう。

 30分〜1時間のジョギングなどの有酸素運動が望ましい。ただ、〓准教授は「運動習慣のなかった人が暑い中で過度に体を動かし、熱中症になっては元も子もない」と注意を促す。無理のない運動から始めるのが基本だ。

 体力や体調などを考慮して、ストレッチ、ラジオ体操、短時間のウオーキングなどを組み合わせよう。最初は涼しい屋内で体を動かすのもいい。屋外では朝夕の過ごしやすい時間帯を利用し、運動の量を徐々に増やそう。

 暑熱順化が進めば発汗量が増えるので、小まめに水分を取る。塩分、糖分のバランスがいいスポーツドリンクがお薦めだ。運動後に牛乳を飲むと暑熱順化の効果が高まるという。

 運動中に万一、吐き気やめまいなど熱中症の症状があれば、直ちにやめ、涼しい場所で安静にして休む。ひどい場合は医療機関を受診する。涼しい格好、適度な水分補給、必要に応じた冷房など、熱中症予防の基本は心得ておこう。

 【お断り】〓は「辻」のしんにょうが一点になりますが、JISコードにないため表示できません。

この記事の写真

  • ラジオ体操にウオーキングで通う金川さん(左)と岡原さん(いずれも広島市中区)
  • 「無理なく運動し暑熱順化を」と話す〓准教授(広島市南区)

上記の写真をクリックすると拡大して表示されます。

  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

くらしの最新記事
一覧