くらし
旬アナゴ、釣って食べよう
広島のアナゴは夏場に旬を迎える。脂が乗った冬と違い、あっさりした味わいが魅力だ。船で沖に出て捕るイメージだが、身近な港や護岸にも生息し、簡単に釣れる。夕涼みがてら釣りに出掛けて、旬のアナゴ料理を家庭で味わおう。
▽釣りのこつは 足元や遠投、投げ分けを/日没から午後9時が狙い目
まずは、食材の調達だ。広島湾での旬の釣りに詳しい、かめや釣具八木店(広島市安佐南区)副店長の清水克典さん(37)は「広島県の近海では、ほとんどの港や防波堤、護岸の周りがポイントになります」と話す。
7月半ば、広島市南区の護岸で狙ってみた。アナゴは夜明けや日暮れに食いが立つ。清水さんはさおを6本並べ、反応を待った。すると、さお先をゴツゴツとたたくような当たり。餌を十分食い込ませ、リールを巻くと、40センチ近いアナゴがニョロニョロと上がってきた。1時間ほどで2匹を釣り上げた。
仕掛けは簡単。3メートル前後のさおと、ナイロンの道糸3号を巻いた小型スピニングリールを用意し、糸に通すタイプの中通し重りを付ける。それに、ウナギ・アナゴの専用の針とハリス(糸)のセットをつなぐ。餌は「青虫」と呼ばれるゴカイや、サンマの切り身を使う。「青虫は動きで、サンマはにおいでアナゴを誘います」と清水さん。それぞれ単体で針に刺すか、両方をミックス掛けにするのも有効だ。
準備できたら、足元、近投、遠投と、さおの本数に応じて距離や方向を投げ分ける。日没から午後9時がチャンス。「時合(じあ)い」と言って、食うときは続けて釣れるので、そのタイミングを逃さないようにしよう。釣り上げたアナゴは、締めてクーラーボックスに入れるか、エアーポンプで生かして持ち帰る。
ライフジャケットを着用し、ライトを持参しよう。ゴンズイやハオコゼといった、ひれに毒がある魚が釣れることがある。針を外す際、刺されないよう注意したい。清水さんは「倉橋島や江田島まで遠征すれば、60センチを超えるものも上がりますよ」と助言する。
▽調理の注意点 まな板に固定し背開き/皮に塩、ぬめりを取る
アナゴは高タンパク、低カロリーでヘルシーさが注目される食材だ。釣りたてを新鮮なうちに調理し、おいしくいただきたい。
アナゴはヌルヌルして手が滑りやすい。広島市南区の小料理店「きゃぷてん」の若おかみ、川本恵子さん(49)は「キッチンペーパーで押さえるか、作業用手袋を着けて調理するといいですよ」と話す。まな板に千枚通しやアイスピックなどで固定すれば、背開きがしやすい。中骨に沿って包丁を進めて、身をおろす。その後で皮の表面に塩を塗り、ぬめりを取り除いておこう。
「アナゴは捨てるところがほとんどない。大きいものだと肝も天ぷらにして味わえます」と川本さん。頭や中骨も油でからっと揚げれば、つまみに最適だ。料理法は天ぷらのほか、さっと湯引きにしてミョウガや大葉とあえると夏らしい一品になる。
広島酔心調理製菓専門学校(広島市西区)の管理栄養士、徳永和希さん(26)によると、アナゴはビタミンAが豊富で、青魚に多いドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)も含まれる。
一方、ウナギと違って、疲労回復効果のあるビタミンB群がやや少ない。徳永さんは「ビタミンB群が多い豚肉を使った料理と組み合わせれば、夏バテを防ぐメニューができると思います」と助言する。
ただ、アナゴの血と粘膜には弱い毒があるため、血抜きやぬめり取りなど下処理は入念にしておこう。心配な場合は熱を加えれば毒は消える。プロが作った刺し身はおいしいが、素人が調理する場合は加熱し、生食を避けた方が無難という。(桜井邦彦)
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