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夏の海、危険を知っておこう ライフジャケットや肌守る準備を

2019/8/3 19:22
親子連れに遊泳の注意を呼び掛ける柴崎さん(左端)たち(広島県坂町のベイサイドビーチ坂)

親子連れに遊泳の注意を呼び掛ける柴崎さん(左端)たち(広島県坂町のベイサイドビーチ坂)

 夏本番、海水浴に多くの人が訪れるが、海は楽しさの一方で水による事故が絶えない。広島県など中国地方でも毎年発生し、全国では1年に100人前後が遊泳中に亡くなったり行方不明になったりしている。マリンレジャーを安全に楽しむため、海の危険を知って出掛けよう。

 ▽子どもが溺れる・かき殻で手足に傷…

 梅雨が明けて最初の日曜日だった先月28日、広島県坂町のベイサイドビーチ坂で、子どもたちが泳いだり潜ったりして歓声を上げていた。その様子を見守るライフセーバーの柴崎宏武さん(55)=東広島市=は「海は穏やかに見えても、潮流など危険がいっぱいある。楽しい一日にするため、子どもから決して目を離さないで」と注意を促す。

 柴崎さんは今春、「広島サーフライフセービングクラブ」を結成。15人の仲間と分担し、坂のビーチで土日祝日を中心にボランティアで監視や救助に当たっている。活動の中で気になるのが、親の不注意による子どもの事故だ。ことしも海開きして以降、危険を察知して救助に2回出動した。

 1件は、男児が父親と兄を追い掛けて海に入り、足が届かなくなって沈みかけた。父親は気付いていなかった。「子どもの事故は、親がよく見ていないケースが大半。『少しの間だから大丈夫だろう』という油断が危ない」と話す。風や潮流に流されるビーチボールや浮輪を夢中で追い、深みで溺れるケースもある。

 子どもは溺れそうになると、手を真上に向けて伸ばす傾向があり、消えるようにすーっと沈んでいくから異変に気付きづらい。

 そんなとき、頼りになるのがライフジャケットだ。「関東では海水浴での着用は当たり前になっていますが、広島ではまだ100人に1人くらいしか着けていません」と柴崎さん。スポーツ用品店などで数千円で買えるので、子どもにはぜひ着せておきたい。さらに、ライフセーバーなど監視態勢が整った海水浴場で泳ぐと安心だ。

 子どもだけでなく、大人にとっても危険は多い。かき殻で手や足を切ったり、遊泳中にオコゼやエイ、クラゲに刺されたりする恐れがあるほか、防波堤から飛び込んでけがをする人もいる。長袖のラッシュガードやマリンブーツを着用してけがを予防し、飛び込み禁止など定められたルールを守ろう。

 海上保安庁によると、2018年に遊泳中に事故に遭ったのは、広島県や山口県東部などを管轄する第6管区海上保安本部(広島市南区)管内で21人。そのうち1人が亡くなった。全国では304人が事故に遭い、うち94人が死亡するか行方不明になった。中でも飲酒して事故に遭った38人のうち、半数は助からなかったという。柴崎さんは「海で泳ぐ場合の飲酒は厳禁。泳ぎが得意でも体が正常に動きません」と警告する。

 ▽日本海では離岸流に注意

 広島から海水浴で山陰へ遠征する人も多い。日本海では、「離岸流」という沖に向けた急速な流れに遭遇し、巻き込まれる恐れがある。瀬戸内海ではなじみが薄いが、注意しておきたい。

 この流れは、海岸に打ち寄せた波が沖へ戻ろうとする際、流れが水路のように1カ所に集中し発生する。範囲は幅10〜30メートル、長さ数十〜数百メートルで、1秒間に最速2メートルほどの速さで流れる。外洋に面した遠浅の海岸で起きやすい。

 海上保安庁によると、2018年までの過去5年間で遊泳中に事故に遭った1472人のうち、原因が離岸流の可能性があるケースが14%に上るという。

 海に詳しい人であれば、波の形やごみの動きで見分けられるが、素人が判別するのは難しい。では、この流れに巻き込まれたら、どう対処すればいいか。日本ライフセービング協会(東京)のインストラクター、末岡真樹さん(35)=江田島市=は「離岸流に逆らって泳ぐのは水泳選手でも難しい。体力を消耗して溺れてしまう。まずは慌てず落ち着きましょう」と指摘する。

 離岸流の強い流れは一定のエリアに限られるため、そのエリアから外れられるといい。岸と平行に泳ぐか、抵抗せずそのまま流れるかして、流れが緩くなったことを確認し、岸に泳いで戻ろう。泳ぎに自信がない人の場合、浮くことに専念して助けを待つ。「救助まで時間はかかっても、浮いてさえいれば生存の可能性が高まります」と末岡さん。そのためにも、大人も子どももライフジャケットを着用することが大切だ。(桜井邦彦)

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  • 家族連れなどでにぎわう海水浴場(広島県坂町のベイサイドビーチ坂)
  • 「離岸流に逆らって泳ぐと危険」と話す末岡さん

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