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高血圧、改善目標を厳格化 ガイドラインを5年ぶり改定

2019/8/20 19:25

 ▽適切管理できている人は3割未満

 高血圧の管理が「なあなあ」になっていませんか。国内では約4300万人が基準値を超えるが、血圧を生活の見直しや薬で適切に管理できている人は3割に満たない。日本高血圧学会の高血圧治療ガイドライン(指針)は、血圧をもっとちゃんとコントロールしてもらおうと、5年ぶりに改定された。血圧を下げる目標を、これまでより厳しく設定しているのが特徴だ。

 指針の作成に携わった済生会呉病院(呉市)の松浦秀夫院長は「高血圧は、脳卒中や心筋梗塞など死に至る病気の原因となる。血圧は誰にでも測れるし、優れた薬があるにもかかわらず、多くの人が血圧をコントロールできていないんです」と憂慮する。

 高血圧の人のうち、診察室で測った場合の基準値「上140/下90ミリHg」より低く、血圧をコントロールできているのは27%にとどまる。そのほかの73%は「管理不良」。うち治療していない人が44%。治療していながら目標に到達できていない人は29%に上る。

 今回の改定では、血管の詰まりや破れで起こる病気を防ぐために、血圧を下げる目標値を従来より強化した。75歳未満の成人の目標値は「130/80」。上下とも10ずつ引き下げた。75歳以上の高齢者も「140/90」に下げた。治療が必要な高血圧の基準「140/90」は変わっていない。

 目標の厳格化は、患者に血圧の高い状態を早い段階で知ってもらい、医師らのアドバイスを受けて積極的に生活習慣を改善してもらうのが狙いだ。食塩の摂取量については、1日6グラム(小さじ1杯)未満を目標とした。国民の平均約10グラムより4グラム少ない量だ。ほかにも、野菜や果物を積極的に食べる▽適正体重を保つ▽酒の量を控える▽禁煙―などを挙げている。

 一方、血圧が「180/110」以上と高かったり、糖尿病などのほかの病気があったりする高血圧患者は、すぐに薬による治療を始めるよう促している。生活習慣の改善で血圧が下がらない場合も、薬物療法を考える。いったん始めた薬を自分の判断でやめたり、飲み忘れたからといって勝手に量を増やしたりするのは禁物だ。

 家庭での血圧を毎日記録することも大切という。家で測ったときは、血圧の目標値を、診察室で測ったときと比べて上下とも5ずつ引いた数値とした。

 松浦院長は「まずは医師と相談して、自分がどこまで血圧を下げればいいのかを知ってください。日々の血圧の記録や、日常生活で起こったことをかかりつけ医と情報共有してほしい」と呼び掛ける。(衣川圭)

 ◇目指せ「高血圧ゼロのまち」 学会が参加自治体公募

 日本高血圧学会は、自治体主導で住民の高血圧対策に取り組むプロジェクトを推進し「高血圧ゼロのまち」を目指す都道府県、市区町村を募集している。学会事務局は「高血圧専門医を中心に学会員がメンバーに加わり、企画やプロジェクト遂行に助言や支援をしていく。できるだけ多数の自治体に参加してほしい」としている。

 プロジェクト内容に指定はなく、地域の特性に応じた設定が可能。例えば対象は「全住民」「特定健診対象者(40〜74歳)」「職域集団」「学校児童・生徒」などが考えられるとした。

 実際の取り組みとしては、血圧測定の励行や受診勧奨、減塩・運動・禁煙といった生活習慣の改善などを進める想定。「対象者の血圧測定率を上げる」「重症高血圧患者を減らす」「未治療患者を減らす」など、あらかじめ設定した項目について目標を決め、どの程度達成したかを検証し報告書を作成する。学会から資金提供はしない。

 どんなプロジェクトが望ましいかについては、学会事務局に相談すれば専門家からレクチャーを受けることもできる。公募期間は来年3月末まで。

 申し込み、問い合わせは同学会事務局モデルタウン募集係Tel03(6801)9786。

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  • 「『自覚症状がないから大丈夫』と、高血圧を放っておいてはいけません」と話す松浦院長
  • 日本高血圧学会が公募している「高血圧ゼロのまち」のシンボルマーク

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