くらし
秋のスズメバチ要注意 女王蜂育てる時季、警戒心強く
秋になると、スズメバチの集団攻撃で人が刺される事故が毎年起きる。新しい女王蜂を育てる時季に当たり、巣を守る蜂の警戒心が高まっているためだ。今季も蜂が各地で巣を作り、動きが既に活発になっている。被害に遭わないよう適切に対応したい。
▽もし刺されたら…その場をすぐ離れ、医療機関受診を
自宅の玄関の上にできた直径25センチほどの球状の巣を、体長約2・5センチのコガタスズメバチが羽音を立て出入りする。広島市佐伯区の女性(78)は自宅の前で、「近づく人間を警戒しているのか、私が遠目に巣をのぞくとこっちに飛んでくる。怖いです」と巣を見上げた。
盆明けの18日に発見してすぐ、近くの害虫防除業「エビオス」に巣の除去を依頼した。スタッフの杉山記隆さん(45)は、分厚い白い服で全身を覆い、殺虫剤を吸わないようマスクも着用。脚立に上がってスプレーの殺虫剤を吹き掛け、巣の穴から内部にも入念に薬を注入した。
取り除いた巣の中からは、100匹近い成虫の死骸と幼虫が出てきた。「自分で駆除を考えている人は、死骸の片付けにも気を付けて。尻から毒針が出ていて、触れると危険」と注意を呼び掛ける。
杉山さんによると、今季は8月に入って駆除依頼が増え、多い日は1日3、4件出動する。広島市保健所のまとめでは、今月は23日までに196件の相談が寄せられている。昨年8月は西日本豪雨の影響なのか95件と少なかったため、既に2倍になった。同保健所は「相談は例年、8〜9月が最も多く、危険な時季が続く」とみる。
万一刺された場合、蜂が仲間を呼び寄せて次々と刺されることがあるため、その場をすぐ離れる。流水やぬれたタオルで患部を冷やす。その後は安静に過ごし、医療機関を受診する。顔が青ざめたり、じんましんが出たりしたら、「アナフィラキシー」というアレルギー反応の恐れがある。命に関わるので救急車を呼ぼう。
スズメバチが自宅に巣を作った場合、個人で駆除するのが原則で、広島市保健所は市民に防護服を無料で貸し出している。駆除業者は、広島県内の場合、県ペストコントロール協会(広島市西区)で紹介してもらえる。同協会Tel082(533)6668。(桜井邦彦)
◇速い動きや強い匂い厳禁 玉川大農学部の小野教授に聞く
スズメバチに詳しい玉川大(東京)農学部の小野正人教授(58)=昆虫生態学=に、刺されないための注意点を聞いた。
日本で一般的なスズメバチは3種類いる。キイロスズメバチとコガタスズメバチは、都市にも適応し、家の屋根裏や床下の通風口に巣を作るため、人との接点が多い。キイロは巣が大きくなって手狭になると、軒下などに引っ越す習性もある。
世界最大級のオオスズメバチの巣は、山中の木の空洞や土中にある。登山やキノコ狩りで山に入った人が知らずに巣へ近づき、刺されるケースが目立つ。
スズメバチの巣には、敵の接近を監視する門番がいる。巣の近くで自分の周りをしつこく飛び回るようなら、それが門番で「これ以上近づくな」という警告だ。はたいたり、走って逃げたりする速い動きは刺激になって襲われかねない。ゆっくり離れよう。
しかし、蜂をいったん怒らせてしまうと「ゆっくり」ではいけない。蜂は敵と判断すると、毒をスプレーのように噴射する。目に入ると、角膜を損傷することがある。この毒は仲間に敵の接近を知らせる警報フェロモンで「においの警報ベル」のようなもの。感知した仲間が一斉に巣を飛び立って集中攻撃してくる。こうなると一目散に逃げるしかない。
怒った蜂は黒く光る部分を狙って刺す。頭や目が特に危険。白い帽子と白い服を着用すれば、刺されるリスクを少なくできる。登山やキャンプでは、香水や整髪料など匂いの強いものは蜂を怒らせるので避ける。生態を理解し、刺激を与えないようにしよう。
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