くらし

デザイナー芦田多恵さん、時代に応える多様な美表現

2019/9/7 21:20
福屋八丁堀本店にオープンしたブティックを訪れた芦田多恵さん=広島市中区(撮影・天畠智則)

福屋八丁堀本店にオープンしたブティックを訪れた芦田多恵さん=広島市中区(撮影・天畠智則)

 「タエ アシダ」や「ミス アシダ」のデザイナーとしてファッション界をリードする芦田多恵さん。広島市中区の福屋八丁堀本店に新店がオープンした5日、広島を訪れた。時代にマッチした上質な洋服作りへの情熱や広島との縁を語った。(ラン暁雨)

 ―2019―20年秋冬コレクションのテーマは「多様性」だそうですね。

 多様な素材やシルエットを提案し、時代の変化や生き方の多様化に順応できるファッションを表現しています。ブランド初のメンズラインも発表しました。カジュアルとラグジュアリーを交錯させたり、色と柄で遊んだり…。男女の性差を感じさせないデザインになっています。街でもジェンダーレスなおしゃれを楽しむ若者を見掛けますよね。そんな時代の声に応えられたら面白いと思って挑戦しました。

 ブティックには、コレクションのアイテムが並びます。「ジュン アシダ」と「タエ アシダ」の両ブランドが入る店で、中国地方最大規模の売り場面積です。黒と白を基調としたモダンな空間に仕上がりました。

 ―多恵さんの高品質な服作りを支えるものは何でしょう。

 デビューして28年間、3月と10月の東京コレクションで新作を発表してきました。いつも徹底した素材選びから始めます。イタリア製などの上質な約1万種類の生地から70点ほどに絞り込み、イメージをデザイン画に落とし込みます。それを形にしてくれるのが、創業者である父、芦田淳の代からの熟練の職人たちです。シルエットや着心地を左右するのはやはり技術。皇族の方のお召し物なども手掛けてきた技術は引き継がれ、私たちの宝となっています。

 ―ユニクロなどのファストファッションが世界を席巻していることを、どう受け止めますか。

 大量生産できる効率化が重視されています。海外の高級メゾンでも下請けに外注するケースが増えました。私たちは自社で一貫した商品管理をしています。こうした服作りを守るブランドは業界でも珍しいそうです。

 丁寧な物作りのために妥協はしません。洋服は人間の肌に最も近いもの。作り手の思いがこもった上質な服は、着ている人を幸せな気持ちに誘う力がある。それが私たちのブランドが提供できる大きな価値だと信じています。

 ―広島とは縁があるそうですね。

 父は1994年の広島アジア大会で日本選手団の公式ユニホームをデザインし、私は神石高原町に来春開校予定の「神石インターナショナルスクール」の制服を手掛けました。

 昨夏の西日本豪雨では、被災地の子どもたちに縫いぐるみが作れる手芸キットを贈りました。きっかけは現地でボランティアをした友人の俳優斎藤工さんから「家も幼稚園も被災し、小さい子の遊び場がない」と聞いたことです。生地の端切れを使って社員らと400セットを用意しました。子どもたちが笑顔で夢中になって作ったことを知り、物作りの新しい可能性を感じました。服作りを起点に、誰かに幸せを届けることを今後も目指したいです。

 <あしだ・たえ>1964年生まれ。91年に「ミス アシダ」コレクションを発表しデザイナーデビュー。2012年、自身の名前を冠したブランド「タエ アシダ」を立ち上げ、タウンウエアからドレスまで幅広いアイテムを展開する。故芦田淳さんの次女。

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  • 「多様性」をテーマに据えた「タエ アシダ」の2019―20年秋冬コレクション。初のメンズラインも登場した
  • 「多様性」をテーマに据えた「タエ アシダ」の2019―20年秋冬コレクション。初のメンズラインも登場した
  • 「多様性」をテーマに据えた「タエ アシダ」の2019―20年秋冬コレクション。初のメンズラインも登場した
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